(ブルームバーグ): 業績不振に伴い人員削減計画を発表する企業が相次いでいる。資生堂が2月29日、早期退職を募集すると発表したほか、オムロンも同月26日、国内で希望退職を募ると公表した。日経平均株価が過去最高値を更新して市場の目線が上がる中、株価の回復には思い切った打ち手が必要になっている。

資生堂は子会社の資生堂ジャパンで一定の年齢と勤続年数などの条件を満たす社員を対象に、約1500人募集する。オムロンは国内外で計2000人程度を削減する計画だ。国内の希望退職は、勤続3年以上で40歳以上の正社員とシニア社員が対象になる。

物価上昇に加えて企業の賃上げ期待が高まり、日本株が全体として上昇する中、業績不振企業の株安はより目立つ。こうした企業にとって株式市場の期待を再び得るには、希望退職者の募集を含む構造改革で業績回復につながるというシナリオが必要になる。

構造改革は現時点で前向きに捉えられている。シティグループ証券の大庭脩平アナリストは29日付リポートで、早期退職の募集は同社の構造改革にのっとったものであり、着実な国内の収益性改善が確認されたのは株価にとってポジティブとコメントした。野村証券の大花裕司氏も同日付のリポートで、構造改革の取り組みは着実な進展がみられると述べた。

資生堂株は1日の株式市場で急反発し、前日比2.5%高の4148円で取引を終えた。同社株は業績不振を背景に昨年6月の7000円台から4000円台まで下がってきている。

オムロン株も発表日翌日の終値は、前の日に比べ1.9%高の5900円と期待を織り込んだ。ジェフリーズ証券の中名生正弘アナリストは26日付の英文リポートで、同社の構造改革プログラムについて、当面は回復マインドに乏しいが、調整局面終了後は構造改革効果もあり収益が改善することが見込めるとした。

構造改革に踏み切る企業は資生堂とオムロンだけではない。ソニーグループのゲーム子会社が約900人の削減計画を27日に発表した。ワコールホールディングスも募集していた希望退職に対して想定を上回る215人が応募したと26日に発表した。

東京商工リサーチによると、23年に「早期・希望退職者」を募集した上場企業は41社だった。市場やニーズの変化に対応した募集も広がっており、24年は大企業や中堅企業でも募集が増える可能性が出てきたという。

--取材協力:黄恂恂.

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