2024/2/27

【土井×為末】日本人よ「神経質」になり過ぎるな

Deportare Partners CEO
昨日より今日、今日よりも明日…。仕事でも料理や洗濯などの日常生活であっても、少しずつ上達すると楽しいものだ。
最初は何げなく始めたことも次第に基本のスタイルが確立され、どんどん「らしさ」が出てくる。大なり小なり、誰もが一度はそんな経験をしたことがあるだろう。
本連載では、こうした「熟達」をテーマに各界の第一人者にその方法論を聞いていく。聞き手を務めるのは、元陸上選手の為末大氏だ。
スプリント種目の世界大会で日本人で初めてメダルを獲得した為末氏は、短距離走の熟達のプロフェッショナルでありながら、他の業界との共通点を探し続けてきた。
そのメソッドを1冊にまとめた『熟達論』をベースに、あらゆる角度から質問を投げかける。
今回のゲストは、料理研究家の土井善晴氏だ。
料理の世界における熟達とはいかなるものか。一汁一菜という「思想」に至るまでの過程、考え方に迫った。
(第2回/全3回)
土井義晴(どい・よしはる)
1957年大阪生まれ。料理研究家。スイス、フランスでフランス料理、味吉兆(大阪)で日本料理を修行。1992年においしいもの研究所を設立。料理とは何か、人間はなぜ料理をするのか、人間とは何かを考える「食事学」「料理学」を広く指導。2016年刊行の『一汁一菜でよいという提案』が大きな話題に。
為末大(ためすえ・だい)
1978年広島県生まれ。スプリント種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得者。男子400メートルハードルの日本記録保持者(2023年11月現在)。現在は執筆活動、身体に関わるプロジェクトを行うほか、アスリートとしての学びをまとめた近著『熟達論:人はいつまでも学び、成長できる』を通じて、人間の熟達について探求する。その他、主な著作は『Winning Alone』『諦める力』など。
INDEX
  • 日本料理では「何もしない」
  • 盛り付けは、ほどほどに
  • 「日本的なもの」とは
  • 「ケジメをつける」日本人

日本料理では「何もしない」