2024/2/5

【新潮流】謎の「チャイナコスメ」が日本で売れている理由

NewsPicks 記者
コスメの世界で「中華ブランド」がじわじわと台頭し始めている。
近年、日本の中国からの化粧品輸入額は増加の一途をたどってきた。
2022年には、中国はアメリカを抜き、輸入額で1位韓国、2位フランスに次ぐ3位に浮上。
足元の急拡大の要因の一つになっているのが「中華ブランド」の存在だ。
中国では2010年代後半、主にZ世代向けファッションの分野で、中国の伝統的文化や中華風のモチーフをデザインに落とし込んだ「国潮・国貨(中国風・中国製)」ブームが起き、中国発のブランドが次々と登場した。
このブームは化粧品の分野にも広がり、中華コスメの新興ブランドが誕生。日本にも上陸してきたというわけだ。
この新世代中華コスメの筆頭格が「花西子(フロアシス)」だ。独立系のスタートアップが展開している。
「花で美しくなる」をコンセプトに、東洋的なデザインの派手めの商品パッケージで中国人女性の支持を集めている。
売上高は2018年からの3年間で135倍に拡大し、2021年には54億元(約1088億円)になった(2022年は非開示)。
また2022年の独身の日(11月11日)の売り上げでは、海外のハイブランドを抑えてコスメ部門で1位を獲得した。
展開国数は世界100カ国以上に拡大。日本でも2021年に本格的に販売を開始した。
伊勢丹新宿店に期間限定店舗を出したり、有名メイクアップアーティストのYouTube番組で取り上げられたりして、徐々に知名度を上げてきている。
「中国コスメ」とはいったいどんなものなのか。フロアシス共同創業者の飛慢氏を直撃した。
INDEX
  • ブランドと呼べるものがなかった
  • 「ブランド」になるために必要なこと
  • 100年企業になるために

ブランドと呼べるものがなかった

──コスメは中国のみならず、日本や欧米でもレッドオーシャンの市場です。なぜ、競争の厳しい市場で起業したのでしょうか。
飛慢 ブランドのローンチは2017年ですが、起業を考え始めたのは2014年頃でした。当時、中国の国内コスメメーカーにはハイブランドと呼べるようなものがありませんでした。
そこで、「庭園」と「漢方」その2つの要素を取り込んで、中国発のハイブランドコスメを作ろうと考えたのが始まりでした。
なぜ庭園と漢方かというと創業者の張大勇が元庭園デザイナーで、実家が漢方に関わる家柄だからです。