[ワシントン 6日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は6日、株式市場のバリュエーションが全般的に高まっているとしながらも、米国の金融システム全般の安定に対するリスクは抑制されているとの認識を示した。

同議長はワシントンで開かれた「金融と社会」と題された会議に出席。同会議には国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事も出席しており、講演後にラガルド氏の質問に対する回答として、「現時点で株式市場のバリュエーションは全般的にかなり高くなっている」と発言。「潜在的な危険が存在している」との認識を示した。

また、長期金利が低水準にあることにも懸念を表明。「FRBが利上げを開始した後、長期金利が急上昇する可能性がある。このため、金融市場にショックを与えないよう、われわれはできるだけ明確に金融政策について市場とコミュニケーションを図っている」と語った。

ただ、現時点でバブル発生は認められないとし、金融安定に対するリスクは抑制されていると述べた。

質疑応答に先立ち行った講演で、イエレン議長は金融システムの一層の保全に向けFRBとして一段の措置を講じる用意があるとの考えを表明。

2008年の金融危機に関して「金融システム内でみられた、投資家によるゆがんだインセンティブへの反応の組み合わせが、危機につながる環境を生み出した」と分析したうえで、当局者らは危機が発生する以前、個別企業を過度に重視するあまり金融システム全体の保全に対する注力が十分でなかったとの認識を示した。

同議長は講演で金融政策には言及しなかった。

ラガルド専務理事も銀行の行動について疑問を呈し、改善の必要があると提言。「監視されていなくても銀行が正しい行動をとるという文化が必要だ」と述べた。

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