(ブルームバーグ): 米アップルは特許紛争に絡み同社に有利な高裁判断が下されなかった場合、スマートウオッチの最新機種「Series 9」と「Ultra 2」から血中酸素濃度の計測機能を除外する計画だ。医療機器メーカーのマシモとの紛争に起因する米国内での販売停止措置を回避するのが目的。

マシモが15日明らかにしたところによると、米税関・国境警備局(CBP)が12日にアップル側の変更措置を承認した。税関当局は、アップルによる変更で米国際貿易委員会(ITC)が決定した販売停止の「範囲」からは外れると判断。これにより、「Series 9」と「Ultra 2」は販売継続が可能になるとみられる。

ITCは昨年10月、Apple Watchがマシモの保有する特許を侵害しているとして輸入禁止を命じていた。そのためアップルはクリスマスを目前に「Series 9」と「Ultra 2」の直販を停止したが、先月27日に連邦特別行政高裁からITC命令の一時停止判断を得て直販を再開することができていた。

問題への対応として、アップルはApple Watch用のソフトウエアをアップデート。輸入禁止措置を執行する税関当局に先週、同アップデートの計画を提出していた。マシモによると、アップルは税関当局に対し、パルスオキシメトリとして知られる問題の技術は変更後のApple Watchには「明らかに」含まれていないと説明している。

こうした劇的な措置は、アップルが高裁からより長期の命令停止判断を勝ち取れない場合にのみ実施される公算が大きい。同社は15日、高裁が早ければ16日に停止措置に関する申し立てについて判断するとの見通しを示し、停止期間が1年以上続く可能性があるとの見解を明らかにした。

同社はそれまではApple Watchの血中酸素濃度計測機能は、新たに販売される製品で引き続き利用できると説明した。税関当局は同決定について公表していないが、関係当事者とは情報を共有している。

マシモは「アップルが、再設計されたwatchにパルスオキシメトリが搭載されないと主張したことは、説明責任を果たす前向きな一歩だ」とし、「世界最大かつ最強の企業の1社が、中小企業の知的財産権を尊重し、侵害を指摘された場合にITC命令を順守することは特に重要だ」と付け加えた。

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原題:Apple to Pull Blood-Oxygen Tool to Avoid Ban If Appeal Fails (3) (抜粋)

(アップルとマシモのコメントを追加して更新します)

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