台湾総統選、なぜ重要なのか
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日本を含む台湾国外発の報道を見るにつけ、台湾国内との温度差を感じざるを得ません。
マスコミ的には「台湾有事」を煽った方が都合の良いのかも知れませんが。。。
統一か独立か、親中か嫌中か、というステレオタイプで語れる時代はとうの昔に過ぎ去っており、イデオロギーは選挙の主な争点にはなりません。
これは90年代以降進められた教育改革も大きく影響しており、本土教育を受けた年代が選挙権を持つようになった頃からターニングポイントを迎えた様に感じます。
今回の総統候補、柯文哲、賴清德、候友宜の各氏いずれも対中姿勢で大きな差は見られません。
民進党としては対中政策を争点にしたいところでしょうが、内政課題が有権者の投票行動に影響を及ぼすのではないでしょうか。
事実、総統選はこれまで賴清德氏がリードしてきましたが、同時に行われる、更に内政に近い立法院(国会に相当)選挙では民進党の苦戦が伝えられており、過半数の維持は難しい情勢です。
もし行政院と立法院でねじれが発生した場合、政策決定や遂行への遅れ等の影響が懸念されます。
注目のコメント
台湾が重要なのは半導体の流通が止まると世界的な影響が大きいからだ、という話で、確かに中国がラオスやカンボジアを併合しても、台湾を併合した場合ほどの影響はないでしょう。
もちろん、事は半導体の話だけでは済まず、中国と米国・日本・その他同盟国の間の対決が決定的なものとなり、その影響は経済にとっても破局的に甚大である、ということの方が深刻です。
ただ、中国が台湾を制圧しに来るかどうかは、台湾の選挙結果では左右されません。
台湾にそれを左右する力は無いからです。
中国政府が制圧すると決めたら制圧するのであり、台湾や日本が何かしたところで、止めることも推進することもできません。
1月13日は、総統選と立法院選挙の同日選挙です。
少子高齢化の進む台湾ではありますが、日本に比べれば、まだ30代、40代の人口の割合が高いです（日本は50代、７０代が一番多い）。
６０代以上は国民党支持が、４０代だと民進党支持が多いでしょう。
３０代以下だと、これら二大政党に飽き足らず、「時代力量」など若い世代の新党が結成されています。人口比的に、彼らが議会で多数を取ることはないでしょうが、将来的には議席を増やしていくでしょう。台湾総統選の結果は、台湾、そして、あまり遠くない日本の安全保障にも影響を与える状況を現出しうる点は理解すべきと思います。
仮に選挙が無事に行われたとしても「民進党候補が勝利すれば台湾の親欧米政策と、中国との経済的なつながりを切り離す「デカップリング」が続くことになる。しかし中国からの圧力は強まり得る」可能性はあります。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-01-11/S72HR8T1UM0W00
また、中国は台湾民進党・頼清徳を「独立軍師」と認定しており、頼清徳が勝利すれば、これを「独立」と認定し、中国にとって台湾の統一を実行しやすい環境が更に整ってくると分析しており、
さらに、2024年～25年は、米大統領選挙の為、力の空白が存在し、台湾周辺での軍事力は中国側が台湾・米・日本の軍事力を上回っているため、中国にとって有利な状況が存在するため、強引な形での統一を図る可能性があると分析されています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/38503da5000fa324efc13b499a88d6dc92b3c35f?page=1
台湾有事が及ぼしうる犠牲についてですが、米シンクタンクCSISが行ったシミュレーションでは、仮に、日米台が中国側の台湾侵攻を阻止したとしても、「日米両国は、何十隻もの艦船、何百機もの航空機、そして何千人もの軍人を失う」と予想されています。
日本は、石垣島や尖閣などが直接の攻撃に晒される可能性があり、米軍基地がある日本本土も攻撃を受けるおそれもあります。
米国にとっては台湾をめぐる軍事衝突は第二次世界大戦以降に被った被害で最も大きなコストになると計算されていおり、イラク・アフガニスタンで失った犠牲を数か月で失うことになりえます。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/225802
https://www.csis.org/analysis/first-battle-next-war-wargaming-chinese-invasion-taiwan
台湾総統選の結果は中台関係のみならず、経済、軍事、政治の面で多くの国に影響を及ぼし得ます。選挙後の推移を落ち着いて注視していく必要があります。
