2024/1/15

【逆流】脱ファストファッション「フォーエバー21」の静かな戦略

NewsPicks 記者
2009年に日本に上陸し、「ファストファッション」の代名詞的な存在だった「Forever21」。
19年に、日本の民事再生法にあたる米連邦破産法11条(チャプター11)を申請し、20年に米ブランド管理会社オーセンティック・ブランズ・グループ(Authentic Brands Group、以下ABG)に買収された。
破産前の最盛期に全世界で800店舗ほどあったフォーエバー21は、リブランディングしてすでに世界で540店舗以上を展開をするまで復活している。
日本ではアダストリアグループ傘下のゲートウィン社が運営を担い、23年2月に再上陸。もうすぐ1年が経とうとしている。
フォーエバー21はリブランディング後、ファストファッションではない、「時代に合ったサステナブルなブランド」へと生まれ変わろうとしている。
一度オワコン化したブランドをどのようにして蘇らせようとしているのか。今何を試行錯誤しているのか。
ABGのヴァイスプレジデントのケヴィン・ソルター(Kevin Salter)氏とゲートウィン社社長の杉田篤氏を直撃した。
INDEX
  • フォーエバー21の衰えぬ強さ
  • ローカル化に課題あり
  • 日本は象徴的な場所
  • 戦略的「静かなスタート」
  • 「脱ファスト」で無理しない
  • 「安かろう、悪かろう」では戦わない

フォーエバー21の衰えぬ強さ

──ABGがフォーエバー21の買収を決めた背景、このブランドにどんな可能性があると思ったのでしょうか。
ケビン ABGが買収する企業には共通項があります。
もともとファンが多く、強いブランドでありながら、地域・国ごとの戦略がうまくいかなかった企業を買収しています。
買収したのち、進出国のマーケットをよく知っているプレーヤーを探して、その企業にローカルの戦略を任せる。
二人三脚で「その国で成功するにはどうしたらいいか」を考えるというのが、僕らのやり方です。
杉田 フォーエバー21は、主に10代から20代後半の女性に支持されたカジュアル服ブランドです。
コンセプトは「セレブが着ているカジュアルウエアを安く手に入れることができる」というもので、LAから流行り始めました。
日本には、2000年代に2回上陸して、2回撤退しています。今回が三度目の正直です。
ケビン フォーエバー21のブランドの強さは、どんな国に行っても認知されているということです。インドもトルコも、お客様がたくさんいます。
加えてフォーエバー21のことを、「好きではない」という人があまりいないということが分かりました。
ただ、イメージが良くても買われていませんでした。