2024/1/8

【裏側】大学は「こんな狙い」で箱根駅伝に投資する

NewsPicks 編集委員
正月の風物詩、箱根駅伝。普段はスポーツや駅伝に興味がなくとも、「箱根だけは見る」という人も少なくないだろう。
毎年、多くの学生たちがドラマチックな走りで感動を呼び、学生スポーツの関東大会という位置付けながら、30%近くのテレビ視聴率を誇るお化けコンテンツでもある。
一方で、その裏側はあまり知られていない。
箱根チームのお金事情、新規参入する大学の思惑、そして学生スカウト。
今回は、そうした箱根駅伝のB面にスポットを当てる。
語り部は、箱根駅伝に出場した駿河台大学の徳本一善監督だ。徳本監督は法政大学時代、選手として箱根駅伝に4度出場し区間賞も獲得した。
ホストを務めるのは、元陸上選手の為末大氏。2人は法政大学時代の先輩後輩の関係でもある。
為末氏にしか引き出せない裏事情を、選手、そして監督としても箱根を知り尽くした男、徳本監督に語ってもらった(後編)。
徳本一善(とくもと・かずよし)
1979年広島県生まれ。法政大学時代には箱根駅伝に4度出場し、1区で区間賞を獲得。4年時には2区で肉離れを起こし途中棄権した。学生時代は茶髪にサングラスがトレードマークの「目立つ」ランナーだった。大学卒業後は日清食品に進み、日本選手権で5000mを連覇するなど活躍。2012年より駿河台大学の監督に就任し、2022年に箱根駅伝初出場に導いた。24年には2度目の箱根出場を実現した。
為末大(ためすえ・だい)
1978年広島県生まれ。スプリント種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得者。男子400メートルハードルの日本記録保持者(2024年1月現在)。現在は執筆活動、身体に関わるプロジェクトを行うほか、アスリートとしての学びをまとめた近著『熟達論:人はいつまでも学び、成長できる』を通じて、人間の熟達について探求する。その他、主な著作は『Winning Alone』『諦める力』など。
INDEX
  • 青学と駒澤の「根本的な」違い
  • 「スーパーエース」には功罪ある
  • 「無名大学」参戦の狙い
  • 超泥臭い「スカウト」の現実
  • 慶應がやれば「優勝できる」

青学と駒澤の「根本的な」違い

為末 お金の話をいろいろ伺いましたが、次に聞きたいのが箱根チームの監督さんについてです。それぞれ、スタイルが違いますよね。
徳本 本当にまちまちですよね。監督のカラーがそのままチームに影響していると思います。
為末 偉い人から順に聞いていくとして、例えば駒澤の大八木弘明総監督はどんな人でしょう。