(ブルームバーグ): 対話型人工知能(AI)「ChatGPT(チャットGPT)」を手掛ける米オープンAIは自社のAIモデルの訓練に使う記事のライセンス取得を目指し、多数のメディア企業と交渉していると明らかにした。

同社の知的財産・コンテンツ責任者、トム・ルービン氏はブルームバーグに対し、「われわれは多くのパブリッシャーと交渉・協議を進めているところ」であり、交渉は前向きで順調だと発言。「既に合意を発表したものもあり、今後、さらに増えるだろう」と語った。

事情に詳しい関係者によると、オープンAIはニュースサイトのポリティコの親会社であるドイツのアクセル・シュプリンガーと複数年のライセンス契約を最近締結。昨年7月にはAP通信と契約を結んだと発表していた。

オープンAIはモデル構築に用いる最新かつ正確なデータの必要性と、そのデータの出所に対する監視強化のバランスを取ろうとしている。このためアクセル・シュプリンガーおよびAP通信との契約はオープンAIの将来にとって重要な意味を持つ。

しかし先週、交渉相手の1社だったニューヨーク・タイムズ(NYT)が、AIツールの訓練向けに記事が許可なく使用されたとしてオープンAIとマイクロソフトを提訴した。

この訴訟はオープンAIにとってビジネスの存亡をかけた挑戦となる。NYTの勝訴となれば、オープンAIは巨額の支払いに加え、NYTのコンテンツを含めた訓練データの削除を命じられる可能性がある。これは多額の費用を要する複雑な作業となる。また現時点でも、メディア業界との交渉が複雑化するなど訴訟の影響が広がっている。

関連記事:

  • オープンAI、アクセル・シュプリンガーと提携-ニュース利用で (1)
  • NYタイムズ、著作権侵害でマイクロソフトとオープンAIを提訴

原題:OpenAI in Talks With Dozens of Publishers to License Content(抜粋)

More stories like this are available on bloomberg.com

©2024 Bloomberg L.P.