【新常識】日本に希望を灯す、「リストラ事業」の大逆転劇
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注目のコメント
先日、トヨタの決算記事を書いたところ、ある方がこのようにコメントしてくださいました↓
かつては三河地域の地方の企業として格下に見られていた。決して東京では日の目を見る存在でもなく、今いる人々を大切にしてきた。
こうして世界のトヨタに成長していったとか。
今成長している企業も、当時の名門企業を仰ぎ見るような格下であった。それ故に入ってきてくれた人材でやり切る、他社とは一線を画す何かで勝負する。こうして、当時の「エリート」企業に対して、それこそ「下剋上」にも映るほどの大逆転を果たす、といったところでしょうか。
さてさて、今回はこれまで必ずしも日の目を見る存在ではなかった企業の大躍進にして、ある意味で大逆転ドラマです。
本当にここ1,2年で急成長したうえ、部品や装置などの産業系B2Bなので、一般の知名度はゼロ。先日も僕が尊敬する経営の有識者とお会いした時も、存じていない企業ばかり。
10年以上前は、名門企業から切り離された事業は、ともすると「悲劇」扱い。今や「コペルニクス的転回」が起き、むしろチャンスとなりました。
これまで、日立やパナソニック、富士通のような「選択と集中」をする企業と、「選択された」中核事業が世の中の関心の主役でした。
一方、日の目を見なかった「選択されなかった」側が、実は急成長している。
今後、このような企業に世間のスポットライトが当たれば、日本はもっと面白くなるでしょう。とりわけ、スピンアウト、事業切り出し、といった流れは強まっているので。
先日、富士通が子会社の新光電気工業という、半導体「後工程」の部材メーカーを売却すると発表しました。この件は、明日のインタビューで触れます。「3つの欠如」について、“そう”でもあるし、“そうでもない”かなと感じる部分があります。
以下、コングロ企業CFO直下で事業ポートフォリオマネジメントを担っていた経験から感じることをコメントします。
まず、確かに昔はそうだったなと。しかしながら、近頃は複数事業を抱える企業において「ポートフォリオマネジメント」という概念が浸透しています。
各企業がどこまで明確に制度化し、厳格に運用しているかは論点として残るものの、しっかりとした事業評価のもとで、事業への資金配分や賞与査定等に連関する仕組みを構築していれば、危機感の醸成はなされています。
個人的には、危機感よりむしろ「諦め」が弊害。
昨今ようやくROICが浸透してきました。ROICを軸とした事業(別)評価を行っている日本企業は多々あると思います。これにより事業が構造的に「体を為していない(成立していない)」ことが明らかになることも少なくありません。
この時に醸成されてしまうのは「諦め」です。
ある事業が構造的に成立していないことが明らかになった場合、②投資判断の欠如というより、それ以前に(形式上)当該事業に対して資金配分できず、投資できないという悪循環が生まれます。ポートフォリオマネジメント上は「儲かる見込みのない事業に投資はしない」という原則に従えば正しいのですが、その事業が持つポテンシャルを無視することになります。
このような場合において、トップマネジメントによる経営判断と意思決定は、理屈と感情と外圧が入り混じり、簡単ではない。極めて重いものになります。ルネサスの成功は多くの中小企業、ノンコア事業として切り出された会社にとっての金字塔を打ち立てた、と思います。これで大企業がどんどんカーブアウトしよう!となればポジティブしかありません。