【解説】日鉄が2兆円で「米の過去の名門」を買収した狙い
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日本製鉄のUSスチール買収がよいシナジー効果を生むことを期待します!と、同時に、2019年に日本製鉄社長に就かれた橋本英二さんの手腕もすごい、、、と感じました🤔
鉄鋼業界について調べてみると、高炉と電炉とDRI、CO2の排出量の違い、設備コストなどキーワードがたくさんありました。海外への新規参入のハードルが高いことはなんとなーくはイメージできますが、だからこそ、買収が有効手段になってるんでしょうかね。。。奥が深い世界です🪨
以下、自分用に整理してみました。
【日本製鉄について】
日本製鉄のUSスチール買収目的:
アメリカという巨大市場にエントリーするため。
(アメリカは中国・インドに次ぐ世界3位の市場。人口が増加して需要の拡大が見込まれる上、自動車用鋼板などの高付加価値品の割合が大きい。)
目標:
「グローバルで生産能力1億トン」という目標を掲げ、攻めに転じてきた。海外での生産能力目標は6000万トンで、現在粗鋼生産能力は1900万トンに。海外市場は、インド→タイの順番で力を入れてきた。
【鉄鋼業界について】
鉄は海外企業が新規参入するのが難しい。関税が高く、日本から輸出していては戦えない。
【USスチールについて】
USスチールが、8月に身売りも検討すると発表。
過去10年のうち、4回最終赤字。高炉は簡単に操業を止めることができない。そのため、収益環境が悪化してもコストがかかり続け、大きな赤字に陥る可能性が大きい。
リスクを低減するための対策:
一部の高炉を休止する一方、EV(電気自動車)などに使われる電磁鋼板などの高付加価値品を造る最新鋭の電炉メーカーを2021年に買収。
注目のコメント
このニュースを見たとき、もちろん2兆円という金額にも度肝を抜かれましたが、「USスチール」が世界27位だという事実にも驚きました。JPモルガンの生みの親であるジョン・ピアポント・モルガン氏や「鉄鋼王」と呼ばれたアンドリュー・カーネギー氏が創業し、過去には間違いなくアメリカ経済を支えたUSスチール。ですが、やはりどうしても「かつての名門」感はぬぐえません。なぜ今更高炉買収?2兆円も投じて大丈夫?という疑問に答えるべく解説記事を書きました。
In-Out、日本企業による海外企業の買収は最近明らかに目立ってきました。成功しているか、失敗しているかは分析が難しいのですが、比較的うまくいっている例が増えてきたように思います。にも関わらず、報道の印象としてはネガティヴよりの報道が多いような気もします。その辺りをうまく説明してくれているレポートが興味深い。
https://www.jeri.or.jp/survey/%E5%A4%A7%E5%9E%8B%E6%B5%B7%E5%A4%96%E4%BC%81%E6%A5%AD%E8%B2%B7%E5%8F%8E%E3%81%8B%E3%82%89%E8%A6%8B%E3%81%9F%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%81%AE%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%AB/八田さんが論文で出してくださっているような研究はかなり前から元KBS(現東工大)の井上先生などが出されていました。ただ、東芝のウェスティングハウス、日本郵政のトール、キリンのブラジル、あるいはNTTグループの海外など悲惨な例が多いことも事実。今回の買収は当然そのあたりの教訓を踏まえて入るのでしょうが、早速労働組合が揺さぶりをかける中(身売りを求めたのは先方なのに)、55ドルで収まるのか、先方の要求が一線を越えたときにやめられるか、あたりに注目したいと思います。