2023/12/17

【暗躍】あなたの隣に潜む「ご近所スパイ」の手口

NewsPicks編集部
今年最大のヒットドラマ『VIVANT』(TBS)。「別班」なる謎の組織と、警視庁の公安部、そして国際テロ組織が繰り広げる三つどもえの攻防を描いた重厚なストーリーは、社会現象ともいえるブームになった。
このドラマで公安の監修を務めたのが、元公安警察官であり、現在はセキュリティコンサルタントとして活躍する勝丸円覚氏
新刊『諜・無法地帯 暗躍するスパイたち』(実業之日本社)を上梓したばかりの勝丸氏に、この後編では、「スパイが野放しになっている日本の現状」について聞いた。
INDEX
  • 真面目な留学生をスパイに勧誘
  • 無自覚なまま「協力者」にされる
  • なぜ「スパイ活動防止法」が必要か
  • 知られざる「日本を狙ったテロ計画」
  • 「スパイリテラシー」の向上が必須

真面目な留学生をスパイに勧誘

──『諜・無法地帯』では、「日本はスパイ天国だ」というショッキングな実態が描かれています。普通に生活していれば、日常のどこかでスパイに接触しているということでしょうか。
勝丸 スパイの定義として、協力者も含めるという意味であれば、そうなりますね。
例えば、日本国内で活動している中国系のスパイは数万人規模に上ると言われます。
なかでも、ピンポイントで情報を得たいときによく用いられるのは、留学生をスパイに勧誘するというアプローチです。
入学時は普通の真面目な留学生だったのが、途中からリクルートされるとか、留学が終わって日本でそのまま就職した人が、真面目に働いていたのに、後からリクルートされたりするのです。
(SDI Productions/Getty Images)
例えば今年、産総研というシンクタンクに長年勤めていた中国人研究者が、中国企業に情報を流していたという事件がありました。