【議論】選挙のプロが断言、世論調査は「もう科学ではない」
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注目のコメント
失敗を繰り返すことを許容して、何十年もかけて確度を上げていくのが科学なので、政治科学が短期間の当て物のように思われているのは気の毒なことです。
もっとも、短期間の当て物として使えると思われたから、群を抜いて多額の研究費が与えられてきたのですが。
「少なくとも20年前から続いているアメリカの体制全般に対する信頼の崩壊」
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これは、格差の固定とそれが拡大していくようになった、ということです。
その状況では、GDPが増えることは、大多数の人間にとっては所得が増えることにつながりません。ごく少数の上位の資産が増えるだけです。
これは、米国式の新自由主義的な資本主義の必然なので、誰が大統領をやっても同じことです。
そこで、
「国のトップが変われば状況はすっかり変わるように思わせる行為は、幻惑です。全くの幻惑です。」
ということになります。
これは、選挙という制度の意義を疑うことに近いのですが、日本でもすでにそうなっているように、実際そう思われているので、選挙で政治や経済が変わると思われにくくなっている、ということでしょう。
それでもなお選挙で現状を打破しようとなると、トランプ氏に期待して投票することになるでしょう。
トランプ大統領になっても、変わるのはジェンダーとかポリティカル・コレクトネスについての議論であり、経済は変わらないでしょうが。興味深い記事です。世論調査専門家であり、民主党政治戦略家であるポドホーザー氏が述べたコメントの中から、いくつか気になった箇所を列挙します。
「3年間大統領を務め、その周囲に組織ができあがってしまうと、次の大統領が誰になるかを考える時間的な余裕があまりなくなってしまうのです。ですから、私は今のような状況でなかったらよかったと思う一方で、現状は望ましくない状況の中では最良だとも思います。」
「見るべき数字はそれらではないからです。そこにあるのは、少なくとも20年前から続いているアメリカの体制全般に対する信頼の崩壊です。大統領とは、人々が信頼しなくなった体制のトップです。」
「こうしたデータと実感の不一致はインフレーションにも見られると思います。インフレが落ち着いてきているとはいえ、物価は依然として上昇しています。保有資産下位75%の人たちにとっては大きな負担です。このようなことは、党中枢の人々には実感が難しいのだと思います。他の多くの問題と違って、インフレーションは一般の人々にとって常に頭を悩ませる心配事です。」
「国のトップが変われば状況はすっかり変わるように思わせる行為は、幻惑です。全くの幻惑です。中心的なメディアが「私たちの抱える問題は誰が大統領候補になるかというような表面的なものである」という考え方を助長していることが本当に問題だと思う理由の一つです。本当は根本的な制度的問題を解決する必要があるのに。」
あえて雑駁にまとめてしまうと、①次の大統領候補を誰にすべきか民主党内では考える余裕がない、②インフレに関する一般の人々の悩みが民主党幹部には理解されにくい、③大統領個人ではなく米国の民主主義制度そのものが信頼を失っている、④メディアが米国の民主主義の構造的問題を大統領の変更という問題に矮小化している、ということでしょうか。
世論調査やメディアの問題も存在するとは思いますが、(民主党内や)民主主義制度自体に問題がいくつかあると自覚するのであれば、それは何でどのように改革していく必要があるとのメッセージを読者/有権者に伝えたほうが良いのでは、と思いました。
いずれにせよ、記事が指摘しているとおり、政権支持率の低さは、カナダや日本を含め先進国に共通してみられる特徴です。背景にある本質的問題は何か、を考えることのほうが重要なのかもしれませんね。米ニューヨーク・タイムズの名物ポッドキャスト「エズラ・クライン・ショー」、今回のゲストは民主党の選挙運動を長年支え、データを活用した政治戦略家として著名なマイケル・ポドホーザー氏です。
アメリカでは世論調査が報道されるのに、選挙結果は外す事例が相次いでいます。そんな現状からポドホーザー氏は「狂った世論調査病」とマスコミを批判しています。なぜ世論調査は外れるのか、興味深い議論です。
ちなみに日本は母数がある程度あれば、一部の例外を除いて、当たる状況が続いてますが、将来はアメリカのように当てにならなくなるリスクはありそうです。ちなみに私が知っている範囲では、とある県の衆議院選で、出口調査のバイトがサボって適当に付けて、出口調査を外したという、とほほな事例が某テレビ局でありました。幸い誤報にはなってませんが、ぬか喜びした陣営は怒ってました。ただ、こういうのは稀です。