武田薬のシャイアー買収5年、大型M&Aの難しさ示す
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このタイトルには、大変疑問です。
株価があがっていないからM&Aが難しいと言っていますが
文中に、財務が大きく改善しているとあります。普通、M&Aの失敗というのは高値掴みして借り入れが増え財務が悪化しすぎて挽回できないこというのではないでしょうか?
「懐疑的な見方がある中でウェバー氏は、自身の最重要財務目標をいくつか成し遂げた。~~略~~ 純債務は、調整後利払い・税・償却前利益(EBITDA)の5倍から2.6倍に下がり、2倍に近づけるという約束をほぼ果たした。さらに、全債務を固定金利に変更し、借入の期限を大幅に延長して半分以上が少なくとも30年まで期限が到来しないようにし、平均金利コストを2.3%から2%に下げた。
~~略~~
コア営業利益率は10ポイント改善し28%となった。おかげで新興の乾癬治療薬開発会社ニンバス・セラピューティクス買収での2月の40億ドル前払い、15年ぶりの配当を予想できるほどのキャッシュを確保した。」
シャイアー買収直後から、株価はむしろ下がりました。巨額の買収で財務状況が悪化しそれを覆せないという予想が多かったからでしょう。しかしながら比較的小型の買収を行えるほど財務は改善しているのです。にもかかわらず株価が回復しきらないのは、高株価をつけている第一三共のように抗体薬物複合体という新しいテクノロジーがあるから、今後は有望といった分かりやすい話がないからではないでしょうか。
今後の製薬会社の今後の業績を考えるうえで、新薬の標的分子や疾患領域など他の要素もあります。株価が上がってこないのは、むしろ、製薬関連に関する報道やアナリストが行う分析やコミュニケーションが不十分なのではないかという疑問がわいています。M&Aで事業領域を広げたことには一定の評価があるし、財務状態も改善している、しかし、株価は低迷しており、その理由の大きな要因は、買収にあまりにも巨額な資金(65%のプレミアムが乗った価格)が投入されたことである、という内容の記事でした。
単純な成功とも失敗とも結論づける訳でもない内容で、私はこうしたリスクの大きいケースの複雑さを伝えてくれる内容だと好感を持ちました。
今後も日本企業の大型買収は増えるでしょうし、さまざまな論点で検討されるべきものだと思いますが、一つの視点としては、今後どのように買収後のシナジーを生み出せる組織能力を備えていくか、ということがあるのだろうと思います。
その点から見ると、「シャイアーの製造・供給経費を迅速に削減し、100以上の拠点を閉鎖・統合、双方の世界的プロセスを統合した」とありますが、コスト削減だけなのかなというのが少し気になります。