「日銀は利上げ準備を」 IMFのコザック報道官
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注目のコメント
私がIMFに勤務していた頃から、IMFの報道官は実際には相当慎重な受け答えを心掛けておられます。今回の事例も、質問側の"What is your advice for the BOJ on the best timing to raise its short-term interest rate?"(日銀が短期金利を引き上げるベストのタイミングについてのアドバイスは?)というかなりあからさまな引っ掛け質問に対し、”we believe that the bank of Japan should remain prepared to raise the short-term policy rate once it is clear that the inflation target will be durably achieved.”(インフレ目標の達成見通しが立った暁には短期金利を引き上げられるよう備えるべき)という、かなり慎重、かつ当たり前の答え方をしています。
IMFのスタッフがしばしば驚くのは、自分たちの日本に対する言及が、遠い日本の地で、時に相当切り取られ、予想外に大きく報道されるということでした。皆さん毎回苦笑しておられましたが。欧米のエコノミストは一定の算式に基づいて計算する政策金利を支持しています。現に欧米の金融政策はそれを基礎としています。しかし、日本では賃金の決定方式など社会制度が全く異なるため、この算式が当てはまりません。今起きている急激な円高は、この認識の違いで市場が暴力的に動いた、と理解して良いと思います。日銀はこの違いを丁寧に説明しないと、市場はもっと暴力的になると思います。
金融政策が引き締めであるか緩和的であるかは、実質金利がゼロより高いか低いかです。YCCの短期金利を政策金利とみなした場合、日本の実質政策金利は3%以上のマイナス圏にある超緩和の状態。マイナス金利をゼロにしたところでこの状況は変わりません。輸入インフレも広がりを見せており、報道官の発言はごく当然のことと思われます。