(ブルームバーグ): 第一生命ホールディングス(HD)は7日、企業向けの福利厚生サービスを手掛けるベネフィット・ワンに対して、賛同を得られることなどを条件に、来年1月中旬めどに株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表した。最終的には全株式の取得を目指す。

     先月14日に医療関係者向けの専門サイトなどを運営するエムスリーがベネフィット・ワンに対してTOBを発表しており、これに対抗する形となる。

     生命保険業界では人口減少で国内市場が縮小する中、日本生命保険が先週、介護最大手のニチイ学館を傘下に持つニチイホールディングス(HD)を買収すると発表したばかり。子育て支援やヘルスケア、福利厚生関連など生命保険の周辺事業を垂直展開し、収益源を拡大させようとする動きが広がっている。

     第一生命HDはTOB価格について、株式価値を1株当たり1800円を前提として、同額以上の金額で今後決定するとした。買い付けの下限は15.51%とし、上限は設定しない。エムスリーはTOB価格を1株当たり1600円とし、11月15日から12月13日までの期間で、55%を上限に買い付けを実施している。

     同日の記者向け説明会で第一生命HDの甲斐章文執行役員は「あくまで同意なき買収を企図していない」と述べ、ベネフィット・ワンと親会社であるパソナグループからの賛同を得られることが条件だとした。パソナグループとは今後、協議を開始する予定だという。

     甲斐氏は、来期からの次期中期経営計画において非保険ビジネスの拡大を検討する中、ベネフィット・ワンはその中核となり得る最有力候補として、以前より買収や提携などを考えていたと説明。買収は手元資金で賄う予定。対抗的なTOBをかけることによって関係各社に「何らかのデメリットが生まれることは避けていきたい」とも話した。

     第一生命HDは、ベネフィット・ワンの株式を51%超保有するパソナグループに対して、どちらのTOBにも応募しない上で、第一生命HDによるTOB後にベネフィット・ワンが実施する自社株買いに応じる形で売却することなどを提案し、合意書の締結を目指す考え。パソナグループは先月、エムスリーのTOBに応募し、全保有株を売却する意向を表明している。

      第一生命HDの発表を受けて、パソナグループは「第一生命HDから受領した提案や公表内容を精査しており、今後、公表すべき事象が生じた場合には速やかに開示する」とのコメントを出した。ベネフィット・ワンも「精査の上、企業価値や株主共同利益の観点から慎重に検討を行った後に改めて当社の見解を公表する」と発表した。

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(第一生命HD執行役員のコメントを追加するなどして記事を更新します)

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