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2016年度卒就活、インターンの動向と特徴

三菱商事、三井物産インターン日程・丸カブりに慌てる「ハイエンド就活生」

2015/4/15
Weekly Briefingでは毎日、ビジネス・経済、メディア・コンテンツ、ワークスタイル、デザイン、スポーツ、中国・アジアなど分野別に、注目ニュースをピックアップ。水曜日は、ワークスタイルに関わるニュースをコメントとともに紹介します。

Pick 1:2015年度にインターンシップを実施予定の企業は58.3%に増加

就職白書2015 ~インターンシップ編~” 就職みらい研究所(2015年4月6日)

リクルートキャリアが4月6日に発表した「就職白書2015」によると、2015年度にインターンシップを実施予定の企業は58.3%、2014年度よりも2.8ポイント増加する見込みだ。

ディスコの調査では、2016年卒業予定の全国の大学3年生(理系は大学院修士課程1年生含む)の83.8%が(2月時点)インターンシップに応募、参加した学生も73.7%にものぼる。

インターンシップを活用した採用手法はここ数年で急激に広まった感があるが、最近はさらに加速度を増している印象だ。

では、今年のインターンにはどのような傾向がみられるか。

Pick 2:応募殺到、三菱商事、三井物産インターン

今年、“ハイエンド就活生(東大、京大、旧帝大、一橋、早慶大生などハイスペックな就活生)”が、「インターン内定(インターン参加権を得ること)」を獲得しようと、最も燃えた企業の代表格は間違いなく、三菱商事と三井物産だろう。

三菱商事はプログラム名を「2030年、総合商社進化論」とし、計5日間のプログラムを2回にわけて開催。一方の三井物産は、「Global Entrepreneur」をテーマに据えた。

両社ともに、与えた課題に対して学生が解を出し、その結果をフィードバックする形式は同じ。経営の専門家や有名ベンチャーの社長など、外部から講師2人を招聘(しょうへい)しているところもソックリだ。

このインターンに参加した経験をもつ、ある都内有名私立大学生はこう語る。

「両社のインターンともにすさまじい人気。商社や外資系などに強い就活塾は安くない額を取って、『商事、物産のインターン対策ゼミ』を開講したほど。僕自身『インターン内定』をもらっただけで狂喜乱舞した。でも、最後まで迷ったのが三井物産のインターン。この両社、なんと、日程を『丸カブリ』させてきたんですよね」

ぜいたくな悩みとはいえ、両社の選択に悩んだ学生も少なからずいたはずだ。こうした総合商社の“強気”の新卒採用に、疑問を呈する人事専門家も少なからずいる。

「もともと、『3月解禁10月内定案』は、商社が加盟する業界団体『日本貿易会』が経団連に提言してできたもの。自分で言い出しただけに“前倒し内定”はしないはず。だが、それができるのは、内定辞退者が極端に少ない総合商社だからこそ。商社が就活時期を“後ろ倒し”してくれちゃったため、そのとばっちりを受ける会社や業界は多い。商社のやり方は、あまりに傲慢(ごうまん)です」(人材コンサルタント)

果たして、どのような会社が一番人気の商社の被害にあっているのか。

Pick 3:ハイエンド就活生は外資インターンで「ハクをつけ」、リクルート・インターンで「稼ぐ」?

複数の人材・人事関係者によると、その筆頭は外資系金融・コンサル業界だという。ある外資系コンサルティング会社の幹部は言う。

「当社は2014年中にインターンを行い、すでに内定を出していますが、人事担当者はこのうち、何人を商社に“抜かれる”か戦々恐々です」

商社一人勝ち──。この現象について、複数のハイエンド就活生もこんな証言をする。

「昨年は、内定者“全員”を商社に持っていかれた外資金融もあったと聞いている」

ましてや、今年は就活時期が4カ月後ろ倒しになった影響で、「一応受けとくか、という感覚で外資金融・コンサルを受けていた人が、“就活・長期戦”を嫌がってエントリーせず、商社、メガバンク、一部メーカーなど『経団連企業』に照準を絞る動きも出ている」

ところが、インターンとなると話は別だ。外資系コンサルのインターンは、「商社など“意識高い系日系企業”希望者」の間でも、人気継続中だという。先のコンサル会社の幹部がため息交じりにこう語る。

「つまり、われわれは商社の面接で自己PRする際の“ネタ”として使われちゃっているんです。商社希望者でも、『外資コンサルのインターンは受けとけ』なんて、余計なことを吹き込む就活塾もあるくらいでね」

彼の言う通り、「外資系コンサルのインターンは、商社面接時の『ハクづけ』」と言い切る就活生もいた。

一方、複数のハイエンド就活生を取材したところ、リクルートなどの高額なギャラが得られるインターンも人気の様子だ。

「内定ゲッターみたいな人は、インターンは稼ぐならリクルート、ハクづけなら外資コンサル、本命は三菱商事って言っています」(都内有名国立大学4年生)

優秀な学生の確保に心血を注ぐ企業人事と、したたかにオイシイとこ取りをしようとする就活生──。両者の駆け引きは、「就活後ろ倒し」で、さらに長期化、激化しつつあるようだ。

*NewsPicks編集部では、4月20日(月曜日)から「就活・大格差」と題する就職活動特集を組む予定です。

※Weekly Briefing(ワークスタイル編)は毎週水曜日に掲載予定です。