Ritsuko Shimizu

[東京 13日 ロイター] - みずほフィナンシャルグループは13日、2024年3月通期の連結純利益を6100億円から6400億円(前年比15.2%増)に引き上げた。IBESがまとめたアナリスト14人による連結純利益の予想平均値は6255億円を上回った。顧客部門、市場部門ともに好調に推移しているほか、円安のプラス影響も出ている。

上方修正に伴い、年間配当も5月時点での計画95円から100円(前期実績85円)に増額した。本業のもうけを示す業務純益(ETF関係損益などを含む)の通期予想も500億円引上げ9500億円とした。

木原正裕社長は会見で「上期の状況を見て、当初計画を超過し得る確度は相応にある」と述べた。与信関係費用は期初計画の1000億円を据え置いたが「地政学リスクや来年度には米国を中心に下押し圧力が働くため、予断は許さない。1000億円は使い切る可能性は十分ある」とした。さらには、為替が円高に振れることもリスクとして挙げた。

23年4─9月期の連結純利益は、前年同期比24.4%増の4157億円だった。与信関係費用は、フォワードルッキングな引き当てを積み増したものの、一部戻入れもあり、110億円にとどまった。

10月に日銀は長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の一段の柔軟化を決めた。長期金利は一時0.9%台へ上昇するなど、金利が動き始めている。ただ、木原社長は「YCCが撤廃されることで収益への影響はない。政策金利自体が変わることが一番大きい」と述べた。

日本国債への投資については「居所がまだ定まっていないため慎重スタンスだ」とした。また、米国債についても「物価動向が必ずしも落ち着いているとは見ていない。金利が高止まりする可能性もある」とし、こちらの投資も慎重なスタンスを崩していないという。ただ、金利のある世界では、預金に価値が出てくるため、しっかりと預金を取りに行くと語った。 傘下のみずほ証券は9日、楽天証券へ870億円の追加出資を発表した。木原社長は、資産運用の世界で、みずほグループと楽天証券がそれぞれ持っているプラットフォームを融合していくとし「結果として顧客が求める最善の選択肢を提供していく。一体的に運営していく発想だ」と述べた。個人口座はネット証券に流れている中、「楽天証券でも富裕層は出てきており、(対面での)コンサルティングが必要な人にサービスを提供する」とした。