2023/11/4

【過酷】3カ月で上場廃止。「日本からナスダック上場」の現実

NewsPicks 副編集長
2022年、一部の経営者の界隈で、ある1冊の本が話題になった。
『年商10億円以下の小さな会社がNASDAQに上場する方法』
GAFAMも上場するナスダックには、どんな企業も基準を満たせば絶対上場できる。
そんなうたい文句で、経営者たちの興味を引いた。
本の著者、神野純孝氏が社長を務めるソフトウェア開発企業ハートコアは2022年2月、アメリカに設立した親会社をナスダックに上場させた。
わずか2カ月後の4月には、上場のコンサルティング事業まで始めている。
今年に入ってからは5社の日本企業がナスダックに上場した。メディアアーティストとして知られる落合陽一氏が代表を務めるピクシーダストテクノロジーズもそのうちの1社だ。
ピクシーダストテクノロジーズはナスダック上場から2カ月以上が経った10月19日に、都内で記者会見を開催した(Photo: 中川雅博)
ハートコアのようにアメリカ法人を上場させた例も含めれば、社数はさらに増える。
小さな会社のアメリカ上場として、日本メディアに華々しく取り上げられることも多いが、現実はそう甘くない。
ついには上場からわずか3カ月で、ナスダックから「上場廃止」を突きつけられる企業まで現れた。世界最大の資本市場に渦巻く虚実を詳報する。
INDEX
  • 上場廃止の知らせは突然に
  • 落合陽一氏の会社にも“警告”
  • 上場「後」の厳しい現実
  • 東証で上場しない本当の理由
  • 一流投資家が見向きもしない
  • 「株価をつけるのは大変」経営者の本音
  • 困惑するナスダック