米ファイザー、第3四半期は赤字転落 コロナ関連製品の需要低迷
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ファイザー社は、新型コロナウイルス関連医薬品としてワクチン「コミナティ」と抗ウイルス薬「パクスロビド」を発売しており、どちらもこの領域では世界で先駆けて発売され、最も使われている医薬品です。新型コロナウイルスの蔓延が下火になり、一安心ですが、需要を多く見積ったあとの環境変化は、製薬企業にとっては受難です。
ワクチンのような生物学的製剤の場合は、6か月~3か月くらいの製造期間がかかります。長期保管もできないため、一旦製造製造されたものは有効期間が過ぎれば廃棄されます。
医薬品は需要を予測して製造しますが、特に新型コロナウイルスのように爆発的に蔓延する一方で、流行期が短い感染症に特化して用いる医薬品の需要予測を誤ると、今回のファイザー社のような不安定な経営状態を引き起こします。各国政府の供給要請に基づく生産がされる場合にはなおさらです。
今回はこのような悪条件が重なった結果の決算見込ですが、今回発表された第3四半期の業績の急低下を含め、本年10月中旬に公表済みでした。ファイザーは2017年に、アルツハイマー病をふくむ神経病関連の分野から撤退しました。アミロイドβ抗体の薬の治験の失敗が続いたためですが、あそさでふんばったエーザイやイーライリリはその果実を得ようとしています。
コロナで業績をぐんと伸ばしましたが、そのコロナ特需も終わったということでしょう。
ただ、エーザイの20倍の売り上げがあるビックファーマなので、開発薬のポートフォリオは多様で豊富、カバーするものがそのうち出てくるでしょう。