2023/10/24

【分裂】「グローバルサウス」が、パレスチナに寄り添う理由

NewsPicksでは週7日毎日、世界のトレンドの背景を追うシリーズを開始しています。火曜日は「Behind the Scene(ニュースの裏側)」です。
INDEX
  • パレスチナに同情的な新興国
  • 「西側諸国は利己的」
  • 「紛争の根源はイスラエル」
  • 「自滅」の道を歩む中露
  • 一方の米国も「機能不全」

パレスチナに同情的な新興国

南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は10月14日、ボックスバーグで開かれた集会で、「中東で繰り広げられている残虐行為」に深い懸念を示した。
彼の肩にはパレスチナの伝統的なスカーフが掛かり、背後には小さなパレスチナの旗を握った支持者たちがいた。
元反アパルトヘイト活動家のラマポーザは、南アフリカがパレスチナ人を支援することを約束し、彼らはイスラエルによる「75年間の占領」に耐えてきたと述べた。
その発言は、7日に武装組織ハマスがイスラエルを奇襲した後、すぐにイスラエルの自衛権への揺るぎない支持を表明した米政府とは対照的だった。
パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するハマスは、この奇襲で1300人以上を殺害し、米国人を含む多数の人質をとった。イスラエルは報復としてガザに激しい空爆を続けている。
ロシアのワシーリー・ネベンジャ国連大使(写真:Michael M. Santiago / スタッフ/ gettyimages)
国連安全保障理事会では、民間人に対する暴力を非難して人道的停戦を求める決議案をロシアが提出したが、票は割れて採択されず、安保理内の分断が強調された。
イスラエルの空爆によるガザ地区の死者数は2400人近くにのぼっている。
イスラエルは、同地区への食料や医薬品、水、電気の供給を遮断。地上侵攻に備え、ガザ北部の100万人以上の住民に「24時間以内に」南へ避難するよう求めた。
戦闘が激化するにつれ、米国主導の西側諸国と、新興国や途上国から成るグローバルサウスとの間に横たわる深い溝が、あらためて浮き彫りになっている。
ラマポーザが率いる南アフリカはこのグローバルサウスの主要メンバーであり、BRICSに加盟して以降、影響力を増している。
BRICSは、ブラジル、ロシア、インド、中国を含む主要新興市場の連合体だ。
米国のバイデン政権は同盟国イスラエルへの支持を世界に呼びかけるが、グローバルサウスの多くは、ユダヤ国家がパレスチナの領土を占領し、パレスチナ人をアパルトヘイトのような差別と抑圧で苦しめていると批判している。