【徹底解説】「日本の凋落で外国人が働きに来ない」はウソだった
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外国人は、来ることは来ます。
ただし、最優秀の外国人は来ません。
「日本に来る外国人は高卒が多いが、アジアの途上国の基準でいえば高学歴」というのは、あまりにも強弁です。
比べるのもおこがましいですが、シンガポールで永住権を得るような外国人と比べてみるといいでしょう。
日本に来る外国人は増え続け、その中身は、変遷し続けています。
中国人が技能実習生としてくることはなくなろうとしています。一方で、日本で税理士や弁理士、不動産鑑定士などの資格を取る中国人は増え続けています。
2010年代に増え続けてきた主流はベトナム人でしたが、他の国から働きに来る外国人が増えています。
インドネシア人、ネパール人、ミャンマー人、バングラデシュ人、スリランカ人などです。
目新しいところでは、ウズベキスタン人なども急増しています。
世界には3500万人の難民がいるのですから、教育水準や年齢性別を問わなければ、日本に外国人を連れて来ることはいくらでもできます。
バングラデシュやパキスタン、ケニアあたりの何十万人もが住む難民キャンプに行って、「日本に行きたい人間は全員連れていってやる」と言えばよいのです。
実際は、そういうことをする政府はありません。
世界中の先進国の政府は、できるだけ優秀な外国人を招くことに、しのぎを削っています。
人事採用と一緒で、バイト待遇の短期契約では、採用できる人材も知れているので、正社員としての採用(永住権や国籍)、福利厚生(よりよい教育)の充実なども選択肢です。
人材採用は早い者勝ちで、本当にどの大企業も取りたいような人材は、青田刈りでどんどん採用されていきます。基本的には米国が総取りしていて、そういう人材が、カリフォルニアやテキサスで起業していきます。
問題は、外国人が来るか来ないかではありません。
日本の、所詮はバイト待遇で短期契約しかする気は無いから、高卒で十分、世界のトップ大学を卒業した外国人人材を、正社員として破格の待遇で招こうなどとは全く思わない、という無策のために、世界的な人材獲得競争で、日本が圧倒的に出遅れることになった、というのが問題です。「移民」については、いろいろなご意見があると思いますが、まずは何が事実なのかを押さえることが必要です。
日本の経済凋落や円安で特定の国からは来にくくなっています。私も移民について取材を始めた時にはここだけを見て「もう日本には誰も来ないのでは?」と誤解していました。
実際取材してみると、日本へ労働者を送り出す国が中国からベトナムに変化してきたように、送り出す国が変わるという興味深い事実が分かりました。
<追記>
なぜ私たちの「ファクト」が歪むのか。
私も2019年に技能実習生の不当解雇を北海道で取材して報じた事があります。農業スキルもない会社が呼び寄せて、うまくいかないから突然解雇というひどい話でしたが、逆に珍しいからこそニュースになっている側面があります。その後、金銭補償と転籍などで和解になりました。
新聞社やテレビの社会部的な取材はあくまでN=1で、その人のストーリー、いかに不正義で、借金を背負っていて、苦境に立たされて、かわいそうなのか強調する報道になってしまいます。今、思い返すとそういう情報を無意識に選び取って報じていました(逆に選ばないと、何が言いたいのかストーリーが支離滅裂な記事になります)。
一方で、別の会社で取材した技能実習生の20代女性は、数年で実家に立派な家を建てていました。家の画像も見せてもらいました。勤務先の社長とは父と娘のような関係で、子供の居ない社長夫婦は「できれば養子に」と話していました。
こういう情報は外国人労働者特集の一場面では使われても、大きく扱われるニュースにはなりません。一つ一つは事実(ファクト)でも、こうして私たちは全体像を誤解していきます。
自戒をこめて、社会部系のN=1のニュースに接するときは、俯瞰してみたらどうなのか。考えることがとても大事だなと感じます。