Diane Bartz

[ワシントン 26日 ロイター] - 米連邦取引委員会(FTC)は26日、米アマゾン・ドット・コムを反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで提訴した。アマゾンが独占的な力を利用して消費者に損害を与えているとして、資産売却も含めた措置を検討するよう裁判所に求めた。

FTCは4年にわたる調査の末、アマゾンを提訴。訴訟には17州も加わった。米政府はテクノロジー大手に対する監視を強めており、これまでにアルファベット傘下のグーグルとメタ・プラットフォームズのフェイスブック(FB)を提訴している。

FTCは声明で、アマゾンは「競合他社や販売業者による値下げを阻止し、販売業者に過大な手数料を請求しているほか、技術革新を阻害し、競合他社によるアマゾンとの公平な競争を妨げている」とし、こうした行為の停止を命じるよう裁判所に求めるとした。

FTCは訴えで、アマゾンが競合サイトでより安く販売しようとする事業者について、自社プラットフォームで検索しづらくしているなどと指摘した。

また、販売業者にアマゾンの物流サービスを使用させて消費者と販売者のコスト上昇を招いているほか、自社の商品をサイト上で優遇していると主張した。

FTCは、公正な競争を回復するために必要な暫定的または恒久的な救済措置を検討するよう裁判所に求め、これには構造的救済が含まれるが、その限りではないとした。

一般的に反トラスト法における構造的救済とは、企業が事業の一部などの資産を売却することを意味する。

FTCのリナ・カーン委員長は記者会見でアマゾンを解体する案について問われたが、言及を控え「現時点では法的責任が焦点だ」と述べるにとどめた。

同氏はアマゾンが自社の独占に挑戦しようとする企業をかわすために違法な手法を使ったと指摘。「アマゾンは独占的な力を利用して、自社のプラットフォームで買い物をする多くの家計と、アマゾンを利用する多くの販売業者の双方に害を及ぼしている」とした。

アマゾンはFTCの訴えは誤りで、認められれば価格上昇や配送の遅れによって消費者が悪影響を受けると反論。法務顧問のデビッド・ザポルスキー氏は「FTCが指摘した行為は、小売業界全体の競争と革新の促進に役立っている。アマゾンの顧客に豊富な品揃え、低価格、迅速な配送を提供すると同時に、販売業者にはビジネスチャンスの拡大を提供している」と述べた。

アマゾンを批判する団体は今回の訴訟を歓迎。政府にアマゾンに対し行動するよう働きかけてきた権利擁護団体「インスティテュート・フォー・ローカル・セルフ・リライアンス」のステイシー・ミッチェル氏は「これほど多くの重要な分野で、これほどまでに権力を集中させた企業は他にない。放置されれば、アマゾンの独裁と支配力で、法の支配と民主的に統治された開かれた市場を維持する能力が脅かされる」と述べた。

アマゾンの創業は1994年。現在の時価総額は1兆3000億ドルに上る。26日の米株式市場で同社株は4%急落した。