【解説】新国際情勢のキープレーヤー、インドの「処世術」
- BRICS躍進の「歴史的」な一歩
- 「中国主導」につのる危機感
- 「インド派閥」を形成せよ
- 米国とグローバルサウスの溝
- 加速する「西側離れ」の中で
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BRICSの内、ブラジルもインドも中国も南アフリカも、ロシアに比較的好意的というのは共通していますが(ロシアと一番緊密な関係にあるのは中国)、別にお互いに仲がいいわけではないです。
ブラジルなどからしたら、中国は重要なパートナーですが、インドや南アフリカにはそれほど思い入れはないでしょう。
インドと中国は対立関係です。ただし、インドにとって本当の敵はパキスタンで、中国そのものが憎いというより、中国がパキスタンを支援しているから中国とも対立する、というのが主な理由です。
インドの外交は、パキスタンとの戦争に備えた準備というのが主な内容なので、米国と接近するのも、一番は経済関係ですが、米国がパキスタンに兵器を売るのを止めたい、というのも大きな動機です。
インドでは、G20サミットの際に、特に重視されたのはサウディアラビアとの会談ですが、これも、サウディアラビアがパキスタンに金を貸すのを止めたい、というのが主な動機の1つです。
インドが外交の時考えるのは、どうやって次の戦争でパキスタンを破るかということで、グローバルサウスがどうこうとか、世界規模のことは考えていません。
インドがエチオピアやエクアドルのために何かするべきとか、夢にも考えません。
パキスタンに打撃を与えうる国、共に挟み撃ちにしうる国との外交は重視するので、イラン、アフガニスタンあたりは重視します。
隣国との関係をまず考えた、当たり前といえば当たり前の、地に足がついた発想です。
BRICSに6カ国(アルゼンチン、エチオピア、イラン、サウジアラビア、エジプト、UAE)を加えましたが、ヨハネスブルクでは中印を中心に激しい議論が行われたと言います。UAEとエジプトを入れたいというのがインドの意向というのはそうだと思いますが、中国と両国との関係も悪いわけではない。インドは核問題で制裁を受けているイランを入れたくなかったでしょうが、そこは中国に妥協しています。その意味で、中印それぞれが主張と妥協を織り交ぜつつ辿り着いた「合意」が現時点ではこの6カ国ということでしょう。
今後、BRICSは拡大の傾向をたどるでしょうが、インドにとってのボトムラインはパキスタンを入れないこと。一方の中国は入れたがるでしょう。BRICSを舞台にした「中印攻防」に注目です。来年の議長国はロシア。
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