損保ジャパン社長 ビッグモーターとの取り引き再開促す発言
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役員会議というより、営業会議の一幕のように思える内容です。
会議でいろいろな意見が出るのは当然ですが、最終判断を見れば、その会社が何を大切にしているかが分かります。
損保業界は約20年前までは算定会料率という、どの会社も同じ補償、同じ保険料の自動車保険を販売していました。商品差がないため、損保社では伝統的に営業サイドの方が力を持つ傾向にあります
大手で寡占状態の損保業界で、熾烈なシェア争いをしている中、営業数字を優先する判断をしたということでしょう。
時代が変わっても、複数の会社が合併しても、業界に蔓延る組織文化は変えられなかったということなのだと思います。役員会議とは取締役会のことを指すと思いますが、取締役は株主の委託を受けて経営方針の最上位の意思決定を行います。アクセル・ブレーキの両方の責任を担いますが「取締」の名の通り、企業が有する社会的な責任を様々な側面から検討できる方が「監督する(取締る)」役割を担う機関です。
記事に書かれている同社の役員会議(取締役会)のやり取りで、特に問題と思われるのは、「白川社長は、追加調査を行えばビッグモーターとはこれまでのような関係には戻れなくなるという懸念を示し、工場への追加調査を行わずに取り引きを再開してはどうかなどと発言した」という部分です。
仮に事実だとすると、会社に損害を与えないよう「善良な管理者の注意」をもって取締役としての業務を行う義務(=善管注意義務、会社法330条・民法644条)を意図的に果たさなかったことになります。この内容を知っていた(同席していた)他の取締役が仮にこの説明に同意していたなら、同様に義務を果たしていなかったことになります。このような義務は、取締役は法律上会社から経営を委任された立場にあることから課されているものであり、会社に対して取締役が個人として責任を負います。
なお、取締役に関しては、その形式的要件として組織内部の力学に影響を受けない人物が適任と考えられ、それが故に、欧米大企業では社会的責任の観点からほとんどの取締役は社外人材から構成されています。ここまで大きな社会問題になるとは、当時思っていなかったのでしょう。世間の関心はここのところ、「ビッグモーター」から「損保ジャパン」へとシフトしつつあるようです