ビッグモーター たとえ倒産しても兼重親子の“資産はノーダメージ”の可能性が高いワケ
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タイトルは誤っています。兼重宏行・宏一親子の資産管理会社「ビッグアセット社」が100%ビッグモーターの株式を所有していますが、ビッグモーターが破産した場合、ビッグモーター社の価値はゼロに向かいますので、ビッグモーター社の株式を有する兼重氏の資産管理会社の資産価値は下がることにより、間接的に兼重親子の資産は下がります。これを下がらないとするなら、現在の資産管理会社の価値も、兼重親子とは関係ないと言っているのと同じなので、矛盾します。
ただし、ビッグモーター社の株式の価値は、ゼロ以下はありません。つまり、企業が債務超過に陥ったとして、超過分の債務を株主が支払うことはありません。これは株式会社というシステムが採用している、「有限責任」の仕組みであり、有限とすることで、広く出資を受けられやすくすることを優先する資本主義社会のルールです。
「釣り」のためにつけられたであろう不正確なタイトルとは異なり、記事本文は正確かつ詳細に説明されていますので、記事本文をお読みください。記事に書かれていることは、大学の経営学で習うごく基本事項の一つで、当該領域の卒業生、学生であればだれでも知っていなければならない内容です。高橋先生が仰るようにノーダメージではないですよね。確かに「釣り」タイトルですね。
一方で税理士として相談を受けると、株式会社の有限責任を勘違いされている方もまあまあいる印象です。
>ビッグモーターの株は非公開で、同社の株は兼重宏行・宏一親子の資産管理会社『ビッグアセット社』が100%保有している。
ということですが、株主としてビッグモーターの責任が及ぶことはありません。株主は会社の借入や損害にも責任も追うのではないかと思っている方がいるのですが、もちろんそんなことはないです。
株主の最大のリスクは株式の価値がゼロになることです。
一方で会社の代表者や取締役としては責任が発生することがあります。
一番大きなところでは代表者の個人保証です。個人保証がついている融資を会社で返済できなければ、個人に返済を請求されます。
しかし、2014年より経営者保証ガイドラインが開始されてから無保証の新規融資の割合は年々増えています。
民間金融機関における「経営者保証に関するガイドライン」の活用実績 https://www.fsa.go.jp/news/r4/ginkou/20221227-1.pdf
また、取締役は会社に対して「善管注意義務(その人の社会的な地位から一般的に要求される注意義務)」を負っています。
これに違反することで会社に損害が発生すれば、役員は損害賠償を請求される可能性があります。
しかし、役員に損害賠償請求をするのは通常は会社か株主ですので、ビッグモーターのケースですとどうなるのか、弁護士先生のご意見をお伺いしたいですね。損保の罪も軽くありません。
自賠責保険が欲しかった東京海上とMS&AD。
自賠責保険以上に利益の出る自動車保険が欲しくて、甘い「協定」を容認し、ビッグモーターの修理工場を優秀ランクに位置付け事故修理「入庫紹介」を積極的に行った損保ジャパン。
「協定」不正発覚後の対応は異なりますが、大手損保が入庫紹介を「競っていた」のか、「競わされていた」のか。視点を変えると見えるものが違ってきます。