アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」きょう承認審議 厚労省
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レカネマブはまだしっかりとした治療法の確立していない認知症の薬であり、大きな期待が寄せられています。一方で課題がいくつかあります。まずは薬価の問題です。安ければ広く多くの方に使えば良いのですが、ここまで高価な薬剤となると、やはりメリットとデメリットを検討しなければなりません。
また、レカネマブの治療効果は限定的で、早期の認知症患者に対し18ヶ月の調査で、27%の進行抑制に留まります。
実際に日本でも処方できる様になれば、進行度に関わらず使いたいという患者または患者家族がかなり多くいらっしゃると思います。患者が強く望めば、医師もこの薬を使ってみようという判断をする姿が容易に想像できます。そうなると、医療費の高騰につながり、増税となる可能性があります。
2020年では、日本の認知症患者は約600万人、そのうち約60%がアルツハイマー型認知症だとすると、360万人の患者がいると推計されます。そのうち10%の方がレカネマブを使ったとすると、36万人に年間360万円かかるとこになり、単純に計算で1兆2930億円という計算になります。少なく見積もってもこの金額になるので、レカネマブの適正仕様は重要なポイントです。
次に副作用の問題です。短期の研究結果で予防の有効性が示されたものの、脳出血の方が17%にも上りました。しっかりと適応を判断しなければ、高いお金をかけて脳出血の方を増やす様な薬になりかねません。
喜ばしい点だけではなく、こうした課題にもしっかりと焦点をあてて、適切な評価をする記事が増えることを願います。確実に承認勧告がなされます。
そのあと、中央社会保険医療協議会という厚生労働省の諮問機関で、薬価や使用の際の条件などが話しあわれ、11月末までには保険収載をされ、使えることができるようになります。
ただし、対象は早期のアルツハイマー病患者に限られます。病院でまず認知機能の診断をうけ、早期のゾーンに入っているとわかれば、腰椎穿刺やアミロイドpetによって、原因物質であるアミロイドβが確かにたまっているかどうかを調べます。それで陽性となれば、投薬対象となります。
2週間に一回点滴をします。エーザイによれば、自立して生活ができている早期の段階から介助が必要となる中等度に段階に以降する期間が、約3年伸びることが期待されています。レカネマブは、モノクローナル抗体のアルツハイマー病治療薬として初めて、臨床試験で主要評価項目を達成したことで昨年から注目をされています。ただし、治療薬としての有効性(アルツハイマー病の進行を27%抑制するが、改善させるわけではない)、副作用(脳出血や脳浮腫)、コスト(年間1人300万円)という点で議論の的になってきました。米国ではFDAが完全承認したことで使用されはじめており、その点が日本の承認審議でどのような影響を与えるのかも注目されます。