2023/8/28

170万人が熱狂するYouTuber「あめんぼぷらす」成長の秘訣

公式アカウント
「あめんぼぷらす」というYouTuberをご存知だろうか?
「野球部あるある」を繊細かつ、おもしろおかしく演出した日常コメディをYouTubeで配信し、今、10〜20代の若者を熱狂させている。
チャンネル登録者数は170万人以上(2023年8月時点)。動画の脚本を手掛けながら「監督」を演じるおまつ(27)、そして野球部員「サボりしょーた」を演じるしょーた(27)の2人によるコンビであり、大学卒業後に結成された。
当初は動画制作の経験はゼロだったというが、なぜ彼らの動画は若者の心を掴むのか?
あめんぼぷらすの成功の裏側を覗く。
※本記事は「これからどう生きていくか」を考える若者のためのYouTubeチャンネル「ハバヒロ」の動画の内容を再編集してお届けします

苦手なやつとコンビに

おまつとしょーたの出会いは、中学1年生の時だった。おまつはテニス、しょーたは野球と種目は違うが、一緒に朝練をするなどして青春時代をともに過ごしたという。
しかし、おまつは中学校に入学し同じクラスになるまでは、しょーたに苦手意識があったと言う。
おまつ「遠くから見ていてもわかるほど、しょーたはいつもグループの中心にいました。ガキ大将のような印象で、僕からすると少し近寄りがたかったんです。地元の中学校に入学し、名簿で彼の名前を見つけた時は、『最悪や......』と思ったほどでした。
でも、そう心の中でつぶやいた瞬間、すぐ隣にしょーたがいて(笑)。
驚いたのですが、心の声とは反対に『うい!よろしく!』と彼に元気よく挨拶をしていた自分がいました。
するとしょーたも僕のテンションについてきてくれました。あの時の反応を間違えていたら、今のあめんぼぷらすはなかったと思います。中学生はちょっとしたことで関係性が変わりますから」
10年以上前の何気ないきっかけが、現在のYouTube活動に繋がっている。

大学卒業後すぐにYouTuberに

あめんぼぷらすの特徴は、おまつとしょーたが異なるキャリアを持っているところにある。おまつは作家、しょーたは俳優「羽谷勝太」として活動している。
動画の脚本は全ておまつが書き、しょーたは持ち前の演技力を生かして動画のメインキャラクターのやる気のない野球部員「サボりしょーた」を演じる。
大学卒業後、あめんぼぷらすを結成しYouTubeの配信を始めた2人。どのようにコンビ結成に至ったのか。
しょーた「大学の友達が進路を考える時期に、僕はプロ野球選手か俳優になりたいと考えていました。しかし大学時代の監督とはうまくコミュニケーションができず、大好きだった野球ですら嫌いになってしまったこともあり、就活の時期はすごく悩んでいたんです。そんな時、おまつに『YouTuberにならないか?』と誘われたんです」
当時のしょーたにとって、YouTuberはやりたいことではなかった。しかしおまつの唐突な誘いは、しょーたをよく知っているからこその提案だった。
しょーた「おまつから『お前は俳優になりたい、そして俺は作家になりたい。お互いの夢を叶えるためのキャリアの土台として、一緒にYouTuberをやらないか』と言われました」
悶々と悩んでいたしょーたにとって、13歳からの親友の提案は大きな挑戦だったものの、救いとなった。ではなぜ、おまつはしょーたを口説いたのか。
おまつ「しょーたといる時の自分が一番面白いと思ったんです。2人でケラケラ笑っている瞬間が人生の中で最高に楽しかった。イケメン、面白い、だから動画配信も一緒にしたら売れそう、という安直な考えは一つもなかったわけではないですが、しょーたをYouTubeに誘った一番の理由は、彼と一緒にいる時間の楽しさでした」

両親を説得できないと売れない

「ほんまに殴られるかと思いました」と、おまつは両親に進路を打ち明けた日のことを振り返る。
おまつとしょーたが大学を卒業したのは2019年。当時、YouTuberという存在はまだまだ黎明期だった。
おまつ「両親にはまず何気ない会話でYouTuberになりたい話を頭出しをしたあと、真剣に話し合いをする場を設けました。両親を説得できないやつが、売れるなんてありえない。そう自分に言い聞かせて、真剣にプレゼンしました」
おまつが両親に伝えたことは「自分自身の状況を理解している」ということ。現実を見失ってまで、夢を追いかけようとしていないことを強調した。
おまつ「エンタメの仕事がしたいと、自分の正直な気持ちを伝えました。その上で、自分のことを過大評価していないからこそ、何回失敗しても、走り直せる自信があると言いました。
そうしたら、はじめは『また冗談ばっかり』という反応だった両親が数分後に『あんたやったらいけるわ』って言っていて(笑)。そこで第1関門をクリアできたのかもしれません」
一方でしょーたは辛い反応を受けたこともあったという。心のこもっていない「がんばって」という周囲の言葉で、肩を落とす日が続いた。
しょーた「大学の友達もみんな『え、YouTuberになるの?......がんばって…』という声ばかり。気持ちは僕もよくわかりますが、自分の夢に対していざそんな反応をされると誰でも少しは落ち込むはずです。
でも、意志を貫けた理由は、母の存在でした。僕がやりたいことなら何でも応援すると言ってくれた母には、何度も救われました」
不安の中、あめんぼぷらすの挑戦は始まった。

継続はきっかけを生む

コンビ結成後、動画づくりを始めた2人を待ち受けていたのは、視聴数が伸びない現実と、喧嘩の日々だった。
しょーた「おまつとは対面だと危ないので、あえて電話で喧嘩しました(笑)」
駆け出しYouTuberとして、数字が伸びないストレスを感じながら制作を続けなければならなかった。しかし、しょーたは当時のことを明るく振り返る。
しょーた「喧嘩があった後は必ずうまくいったんです。喧嘩を重ねるたびに仲が深まり、動画の方向性も明確になりました。よかったことは『もう解散や!』と2人とも匙を投げなかったことですね。喧嘩の理由はいつだって、2人とももっといいものをつくりたいという思いから来ていましたから」
今年7月にリリースしたあめんぼぷらすの「カイホウエクササイズ(作詞作曲:チバニャン)」は、YouTube上で1000万近くの再生数(2023年8月時点)を叩き出した大ヒットソングだ。楽曲のテーマにもなったおまつ演じるメインキャラクター「監督」のセリフも、2人の関係性と「面白い」を追求する貪欲さがあったからこそ生まれたという。
おまつ「視聴者から人気の監督のセリフ『ぐ〜っと溜めて、解放!』は、僕がテニスコーチをしていた頃、子供たちに教えながら言っていた言葉でした。
このセリフをたまたま動画の収録で僕が何気なく発したら、しょーたが隣で大爆笑していて。これはいけると思ったら、案の定視聴者からも好評でした」
試行錯誤を重ね、自分たちで「面白い」と感じたセリフや演出はとことん動画に入れ込んだ。はじめて「バズった」日は今でも忘れないと2人は口を揃えた。
あめんぼぷらすは自分たちの経験と動画を通して、いったい何を伝えたいのだろうか?
しょーた「野球をしながら感じていたことでもあるのですが、結果ってすぐにはついてきません。努力は裏切ってきます
でも、続けることで『小さなきっかけ』が出てきます。目標は達成できていなくても、がんばったことで生まれた小さなきっかけに気がついてほしい、という思いがあります。
努力は裏切ることを理解した上で、簡単に折れないことが重要だと学びました。だからこそ、もがいている人には毎日がターニングポイントだと思って、目標を追い続けてほしいですね」
おまつ「これまで僕は、自分の『好き』という気持ちから逃げませんでした。しかし現実は、普段の仕事や置かれた立場と責任を考え、自分のやりたいことを後回しにせざるを得ない状況の人が多いと思います。
夢や目標がなくても、熱中していることや面白いと感じることがあれば、一度向き合ってみてほしいです。僕はずっと、エンタメが好きという気持ちを大事にしてきました。そのおかげで、素晴らしい相方に出会えました
僕の成功に直結する人生のターニングポイントは、間違いなく『相方選び』です。これからも多くの人が、自分の『好き』を後回しにせず向き合ってくれることを願います」
2人の活動からこれからも目が離せない。
記事の全編はYouTubeチャンネル「ハバヒロ」にてご覧いただけます
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YouTubeチャンネル「ハバヒロ」
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