(ブルームバーグ): 米アップルは、オープンAIやアルファベット傘下グーグルなどの製品に対抗できる人工知能(AI)ツールの開発をひそかに進めている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。ただ、消費者への提供に向けた明確な戦略を立てるまでには至っていないという。

アップルの広報担当者はコメントを差し控えた。

関係者によると、アップルはオープンAIの「ChatGPT(チャットGPT)」やグーグルの「Bard(バード)」といったAIサービスの中核である大規模言語モデルを作成するための独自フレームワークを構築。また、一部のエンジニアが「アップルGPT」と呼ぶチャットボットも作られたという。

過去数カ月、アップルではAIの推進が主要な取り組みとなり、複数のチームがプロジェクトに協力していると関係者は語った。同社での取り組みには、プライバシーを巡る潜在的な懸念に対処する試みも含まれるという。内部情報であることを理由に関係者は匿名を条件に明らかにした。

19日の米株式市場では、ブルームバーグの報道を受けてアップルの株価が上昇に転じ、一時2.3%高となり最高値を付けた。一方、オープンAIのパートナーであるマイクロソフトは売りが優勢となり、一時1%を超える下げとなった。

ここ1年にオープンAIのChatGPTやグーグルのBard、マイクロソフトの「Bing AI」が投入され、アップルは足をすくわれている。同社は何年も前からAI機能を製品に導入しているが、テキスト入力に基づき文章や画像、動画を作成できる生成AIツール市場では遅れを取り戻そうとしている。生成AI技術はここ数カ月で消費者や企業の興味をかき立てており、関連製品の急増につながっている。

こうしたブームの中でアップルの影の薄さが目立っており、同社の主要AI製品である音声アシスタント「Siri」はここ数年停滞している。ただ、スマートフォン「iPhone」の写真や検索の改良など、他の分野ではAIを前進させており、オートコレクト機能のより賢いバージョンが年内にモバイル端末に搭載される見通しだ。

ティム・クック最高経営責任者(CEO)は公の場では、市場に押し寄せる新しいAIサービスについて慎重な姿勢を示している。この技術には可能性があるものの、「解決しなければならない多くの問題」が残っていると、5月の電話会議で発言。アップルはより多くの製品にAIを追加していくが、「非常によく考えた上で」だと述べていた。

原題:Apple Races to Build Own Generative AI Tools to Catch OpenAI (1) (抜粋)

(第6段落以降に背景などを追加し、アップルの株価を更新します。)

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