(ブルームバーグ): 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と資本提携先の米モルガン・スタンレーは18日、国内での合弁証券2社について、これまで業務が重複していた調査部門など一部機能を統合すると発表した。外国為替トレーディング業務でも協業を開始する。2008年に結んだ戦略的資本提携を深化させる。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券と、モルガン・スタンレーMUFG証券において、両社の機関投資家向け日本株のセールス業務、投資先企業と運用会社との面談を提供するなどのコーポレートアクセス業務、執行業務の一部およびリサーチ業務をモルガンMUFGに統合する。

日本株の引き受け業務についても、三菱モルガンとモルガンMUFGがモルガンSのグローバルなプラットフォームをより活用できるようにする。それぞれの強みを生かし、顧客サービスの向上や競争力強化につなげる。

同日の会見ではMUFGの亀澤宏規社長が、合弁証券会社2社が一体となって「国内トップを目指す」とのメッセージを寄せた。最終的には経常利益で年間百数十億円以上のシナジー効果を見込む。三菱モルガンとモルガンMUFGの業績を一体化した開示も始める。

モルガンSのジェームス・ゴーマン最高経営責任者(CEO)は、顧客により良いサービスを提供するという観点だけでなく、「今後も両社が協力し、パートナーシップを深めていくための実例として重要だと考えている」とビデオメッセージで述べた。

MUFGは08年にモルガンSへの出資を発表し、10年に日本での証券事業を統合した。MUFGが6割、モルガンSが4割を出資する三菱モルガンと、MUFGが49%、モルガンSが51%を出資するモルガンMUFGの2社体制で事業を展開している。

三菱モルガンのアライアンス戦略室長、髙橋威一郎氏は、合弁証券2社が持つ基盤やノウハウなどを総合的に勘案するとこの体制が「一番価値を発揮できる」とし、1社体制など変更は想定していないとした。

また、株式リサーチや引き受けの分野で国内トップクラスを目指したいとしたほか、セールスでは生産性を改善して、顧客評価を上げたいと述べた。人員削減を目的としたものではないという。同証広報担当の外山幸子氏によると、機関投資家向け日本株ビジネスの協働に伴い、三菱モルガンから約100人がモルガンMUFGに派遣される。

外為トレーディング業務では、三菱UFJ銀行がモルガンMUFGを通じて協働を開始することで合意した。モルガンSの外為取引のプラットフォームを三菱UFJ銀が活用する。三菱UFJ銀が持つ国内外の事業法人などの顧客とモルガンSが持つ機関投資家などの取引先を組み合わせることで、スケールメリットを享受できるという。

関係当局の承認も前提に、一連の施策は24年前半の開始を目指す。

これまで、インベストメント・バンキング(投資銀行)業務は三菱モルガンに集約する一方、キャピタル・マーケッツ(資本市場)業務、セールス&トレーディング業務、リサーチ業務ではそれぞれの強みや特色を生かし、相互に協力するという2社体制を構築してきた。今回、合弁証券を巡って初の大規模な機構変更となる。

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--取材協力:浦中大我.

(5段落目にモルガンSのCEOコメントを追加します。更新前の記事は8段落目の一部表記を訂正済みです)

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