2023/6/26

【迫真】マイクロソフトが「AI覇権」を握った全真相

認証アカウント
NewsPicksでは週7日毎日、世界の最先端トレンドを追う連載を配信しています。月曜日は「Must Read(今週のビッグテーマ)」です。
INDEX
  • ChatGPTを「所有」する企業
  • グーグルを出し抜く「14兆円」
  • Windows95以来の「覇権」
  • OpenAIに「全賭け」した男
  • 辛口「ゲイツ」を唸らせた瞬間
  • 極秘プロジェクト「プロメテウス」
  • ★チャットボットの間違いは「仕方ない」
  • マスクの嫉妬。MSの「一人勝ち」

ChatGPTを「所有」する企業

昨年11月のリリース以来、世界中がチャット型人工知能(AI)「ChatGPT」の話題でもちきりだ。
その論調は、大きく分けて2種類ある。
ひとつは、多くの政治家やジャーナリスト、そしてこのアプリを開発した企業が好む見方で、ChatGPTの登場は産業革命、あるいは原子爆弾に匹敵する歴史的な出来事だというものだ。
開発元である米OpenAIのサム・アルトマンCEOは、ChatGPTの基礎をなす大規模言語モデルGPT(最新版はGPT-4)」の将来のバージョンは、人類を滅亡させる恐れもあると警告する。
もうひとつの見方は、「騒ぎすぎ」「話を盛りすぎ」というもの、だ。
ChatGPTを数分いじってみると、人類を滅亡させる戦争を引き起こす力は限定的であることがわかる。中学校レベルの数学に手こずり、先週の出来事を思い出せず、虚言癖のある人のようにスラスラと嘘をつく。
だが、ChatGPTが、もはやアルトマンがどうこうできるものではなくなっていることは事実だ。
というのも、ChatGPTを可能にした巨大コンピュータを所有するのは、OpenAIではなくマイクロソフトなのだ。
OpenAIのサム・アルトマン(写真:Joel Saget/Getty Images)
マイクロソフトはOpenAIの筆頭株主であり、最大の投資者であり、テクノロジー面でも重要パートナーだ。
そしてChatGPTを取り巻く興奮を現実的なビジネスに変えるのも、マイクロソフトの仕事だ。
OpenAIは今、シリコンバレーで最もホットなスタートアップであるのは間違いないが、感覚的には、むしろ世界最強のIT企業マイクロソフトの最も有望な子会社に近い。

グーグルを出し抜く「14兆円」

わずか1年前、AI関連の話題でマイクロソフトの存在感はあまりなかった。