2023/6/30
「子育て中」「地方在住」。それでも仕事にフルコミットする人が集まる会社
株式会社 イマクリエ | NewsPicks Brand Design
コロナ禍を経てテレワークが広まり、ビジネスパーソンの働き方の柔軟性は高まった。自宅で育児や介護をしながら仕事をする人や、ダブルワークに取り組む人に対する社会の理解も進みつつある。
しかし、働き方の柔軟性が高まったがゆえに仕事にフルコミットできないことや、周囲から支援を受けることに対して、モヤモヤした気持ちを抱えている人もいるのではないか。
仕事も育児も、納得いくまでやりきりたい──。
地方に暮らしているが、やりがいのある仕事にチャレンジしたい──。
そう考える人々が続々と集まる会社がある。社員も業務委託のパートナーも完全テレワークという働き方を実現し、地方創生支援事業を手がけるイマクリエだ。
イマクリエ代表の鈴木信吾氏と、自身もキャリアと子育ての“両取り”を実現するためにイマクリエに参画した取締役の髙橋宏幸氏に、同社で働く面白さを語ってもらった。
「“地方だから”やりたい仕事をあきらめる」をなくしたい
──イマクリエでは世の中に先駆けて、10年以上前から完全テレワークで事業を進めてきました。コロナ禍前後でビジネスパーソンの働き方の変化をどう捉えていますか?
鈴木 イマクリエには、国内外に点在する5,000名以上のテレワーカーとのネットワークがあります。
弊社の社員がプロジェクトマネージャーとしてプロジェクトを牽引し、各地のテレワーカーの方と共に地方創生事業やコンタクトセンター業務、BPO(企業の業務プロセスを一括して外部に委託するアウトソーシング)業務などを展開しています。
オフィスで仕事をするのが当たり前の時代は「在宅で仕事するって大丈夫なの?」という懸念をお客様に持たれることもありました。
しかし、今はテレワークが一般的になったことで、働く時間や場所の制限がありながらも優秀なスキルを持つ方がたくさんいることに多くの企業が気づき、我々のサービスを活用したいというニーズが増えてきました。
──イマクリエが完全テレワークに取り組む背景にはどのような考えがあるのでしょうか?
鈴木 テレワークが広まる前は、希望する仕事があっても住んでいる地域にはその仕事がなく、あきらめざるをえない人も多くいました。でも、テレワークであればその負を解消できます。
テレワークを前提としている当社なら、どこに住んでいようとやりたい仕事に挑戦でき、キャリアを積むことができます。
自分のライフスタイルに合わせて柔軟に働きたいというニーズを叶えられますし、テレワーカーのネットワークを活かして事業を展開することの面白さを感じている社員が多いですね。
キャリアと生活は“両取り”できるのか
──髙橋さんもイマクリエの働き方に可能性を感じて入社した一人だそうですね。なぜイマクリエを選んだのですか?
髙橋 私はこれまで外資系コンサルファームや医療系ベンチャーでキャリアを積んできました。コンサル時代は昼夜関係なく働く環境でしたし、前職でも子会社代表や執行役員に就いていたためハードな日々を過ごしていました。
転職しようと思ったのは、3人目の子どもが産まれるタイミングでした。「育児のことを考えると、仕事にフルコミットするのは無理だな…」と感じたのです。
事業の責任者をしていたので、突発的なトラブル対応で呼ばれることもありますし、経営会議では夜遅くまでディスカッションすることもある。
ありがたいことに、会社は私の状況にすごく寄り添ってくれて「髙橋は在宅対応でもいい、できる範囲で構わないから」と配慮してくれました。
一方で、そうした周囲から配慮されている状況がすごくもどかしくて…。
ハードワークは苦にならないタイプなので仕事にフルコミットしたいのに、それができない。みんなはしているのに、自分はやれていない。それがストレスでした。
時間が限られるなかで、それでも納得のいく子育てと自分のキャリアプラン、どちらもあきらめたくない。そう思って退職を決めました。
そんななか、もともと知り合いだった鈴木と話す機会があり、イマクリエが完全テレワークの企業であることを聞き興味を持ちました。
私自身は出社して仕事をするのが好きなタイプでしたが、「テレワークしかしない」と決めている会社というのがすごく新鮮で。テレワーカーのネットワークを活用した事業にも、純粋に可能性を感じました。
イマクリエなら子育てや家事をしながら、全力で責任ある仕事をしたいという今の自分に合った働き方ができる。そう確信して入社を決めました。
社員の「託児所代」が経費になった理由
──実際、仕事と子育ての“両取り”はできていますか?
髙橋 はい。BPO事業や地方創生支援事業を統括する立場としても、かなり裁量のある時間の使い方をさせてもらっています。
まず、移動時間がなくなったのは大きいですね。仕事と生活の切り替えがすぐにできるので自分の時間を最大限使え、ストレスを感じることなく働けています。
今だと、だいたい朝6時に起きて40分くらい仕事をして、子どもたちを起こして準備して、送り出してから9時から17時まで会議や資料づくりなどに取り組みます。隙間時間には、洗濯や掃除もします。
17時〜22時は育児の時間としてブロックして仕事は一切しません。子どものお迎えから寝かしつけまで終えて、仕事が残っているときは寝るまでの時間に片付けます。
出社義務があるとこんな働き方はできないじゃないですか。会議に出た後に家でご飯を炊いて、また会社に戻る、みたいな(苦笑)。
鈴木 これまでの働き方は「働く人が会社に合わせるもの」でした。
その中で働く人にいくら配慮がなされたとしても、働き方が従来のフォーマットのままでは、子育てや介護、ダブルワークなど、色々なバックグラウンドを持った人たちが仕事にフルコミットするのは難しいですよね。
であれば今後は働き方のフォーマットそのものを変えていく必要がありますし、会社は「働く人に寄り添う存在」であるべきだと考えます。
たとえば、当社には4人のお子さんを育てている方がいますが、彼女の担当する自治体への提案業務が保育園のお迎えの時間と被ってしまったことがあります。
当然、状況を鑑みて代理の手配しようと思っていた矢先、彼女は訪問先に近い託児所を見つけて、「ここに子どもを預けるので私が行きます」と言ってきたのです。そのかわりに、「託児所とタクシーの費用を会社に負担してもらっていいですか」と。
もちろん会社としてOKを出しました。子育ての大変さがあるなかで、それでも「仕事でベストを尽くしたい」という意思があるならば、我々はそれをサポートしたい。
髙橋 鈴木のこのスタンスが“イマクリエらしさ”の象徴だと思います。
働く側からすると普通、会社に託児所代って請求しづらいですよね。でも、彼女は「任された仕事をやりきりたい」という意思を伝え、それに対し当たり前のように「いいよ」と言える会社である。
完全テレワークでの働きやすさもありますが、それ以上に働く人の思いに寄り添ってくれていると感じます。
今、私が前職で体験した“もどかしさ”を感じずに働けていられるのも、こうしたイマクリエの会社としてのあり方とフィットしているからでしょうね。
テレワークはキャリアを停滞させない
──一方、テレワークの課題として「スタッフを管理しきれない」「育成ができない」という悩みをよく聞きますが、イマクリエではどんな工夫をしていますか?
髙橋 管理についてはある意味割り切って、スタッフが「目標達成できているか」「そのために“正しい行動”を取れているか」にフォーカスしてマネジメントをしています。
予算を月単位で設定し、収支に落とし込んで、毎週の会議で進捗をチェックしてPDCAを回していく。ある意味当たり前のことなのですが、テレワークではスタッフの行動を実際に見て確認することができないので、ここは必ず押さえておくべきポイントです。
正しい行動さえ身につけば、自分でKPIを設定してそれに対してのアクションを取れる、いわば「目標地点を定め、そこに自分で旗を立てられる」人材が育っていくのだと思います。
鈴木 一般的にエンジニアやデザイナーなどのクリエイティブ職がテレワークをしやすいと言われるのは、PCひとつあればインプットからアウトプットまで完結できるからです。
では、当社のような営業やプロジェクトマネジメントなど、誰かとコミュニケーションしながら進める仕事がテレワークに向かないかといえば、実はそうではありません。
従来のような「背中を見てついてこい」というやり方ではなく、体系立ててコンテンツ化して、トレーニングして、レビューすることで、テレワークであってもしっかりと育成して、キャリアアップしてもらうことは可能です。
暗黙知を形式知にするノウハウを持っている点は、イマクリエの強みだと感じています。
「テレワークの会社」から、次のフェーズへ
──これまで企業や自治体のテレワーク支援を積極的に展開されてきましたが「テレワークの会社」をいったん卒業されるとのこと。今後はどのような事業展開を考えているのですか。
鈴木 今までは社会の中でもテレワークが特殊な位置づけでしたが、今後はテレワークを前提として、いかにして次のイノベーションを起こすかが重要になります。そのひとつとして今後力を入れていくのが、地方と海外をつなぐ事業です。
もともと当社ではテレワーカーの仕事をつくるために、BPO事業に取り組んできました。その後は各地にテレワーカーがいるという強みを活かして地方自治体の仕事を増やしてきました。
その過程で、地元をもっと良くしたいと考える人々とのネットワークが生まれ、地方に眠っている資産に関する知見がたまり、自治体が何を目指しているかも見えてきたのです。
──それは、具体的にどんなことですか?
鈴木 たとえば、以前石川県羽咋市で地元に住みながらテレワークで仕事ができるよう、住民の方をリスキリングし、就業まで支援する事業を当社でお手伝いしました。そのプロジェクトの過程で羽咋市が地元で作ったお米を台湾の物産展に出展することを知ったのです。
健康志向が高まる台湾の富裕層に向け直接リーチすることで、商品に付加価値をつけて流通させられるかもしれない。羽咋市の事例に限らず、東京を経由せずに直接海外に地元の特産品を売り込みたい自治体はたくさんあります。
ただ、視点を変えると、そうした自治体も自分たちの商品を海外の「どこで」「誰に」売るのか、そういった土地勘を持ち合わせていないケースがほとんどで、そこに我々のビジネスチャンスがあります。
髙橋 実際、我々は世界中にテレワーカーのネットワークを持っており、「パリで今、現地の人に人気の飲食店」、「サンフランシスコでどんなヴィーガンフードが流行っているのか」といった肌感のある情報を、わざわざ現地に行かなくてもメールひとつで集められます。
あるいは、日本の食材と現地の食文化、両方に理解のあるテレワーカーに依頼して商品を紹介するイベントの企画や運営まで請け負うことも可能です。
要は、我々が地方自治体と海外の都市をつなぐハブとなることで、インバウンド&アウトバウンド事業を加速させたり出面を確保したりする支援ができますし、現地のテレワーカーにとっても自分の持つ情報の価値が高まるので「三方良し」の関係が構築できる。
これはビジネスとしても大きな可能性を秘めていると思いました。
──なるほど。そうした事業展開を考えるなかで、今後どんな人と一緒に働きたいですか。
鈴木 これまでは地方創生というと、企業を誘致する、地域に仕事をつくるといったインバウンドで呼び込む文脈で語られることが多くありました。
そこからもう一歩先に行った「本当の意味での地方創生」を実現するためには、地域に眠っている魅力あるものを、東京を経由せずに海外に直接発信するアウトバウンドが必要です。
そのため、これまでは「イマクリエのネットワークに入りたかった人」が参画してくれていましたが、今後は「このネットワークを活用して新しいことをしたい方」と、ぜひ一緒に働きたいと考えています。
イマクリエは時代と共に変化していく会社です。テレワークの仕方も、お客様や世の中も変化するなかで、当社のサービスも変わってきています。
だからこそ、次なるものを作っていきたい人たちと一緒に仕事をしたい。そして、働き方や仕事の概念自体を変えてしまうような面白いことを仕掛けていきたいですね。
構成:村上佳代
写真:茂田羽生
デザイン:堀田一樹[zukku]
編集:中野佑也、海達亮弥
写真:茂田羽生
デザイン:堀田一樹[zukku]
編集:中野佑也、海達亮弥
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