2023/6/25

【実践】相手の話から「学び」や「発見」を得る方法

NewsPicks編集部
「その意見って、客観的なものですか?」
数値やデータによる根拠付けが当たり前になった昨今、こんな声が各所で飛び交うようになった。
こうした風潮に対し、『客観性の落とし穴』(筑摩書房)著書の大阪大学教授・村上靖彦氏は「客観性を重視するあまり、個人の『経験』や『声』が見過ごされているのでは」と指摘する。
どうすれば、私たちはデータや数字の裏に隠された、人々の「リアルな声」を拾うことができるのか。
村上氏が語る具体論は、組織でさまざまな人に向き合うビジネスパーソンにとっても参考になるはずだ。
INDEX
  • 相手の言葉を「丁寧に扱う」
  • 相手の話を「本当に」聞けているか
  • 経験の生々しさは「リズム」に表れる
  • 西成に学ぶコミュニティづくり

相手の言葉を「丁寧に扱う」

── 前編では、「客観性」や「数値化」への過度な傾倒を乗り越える方法として、個々人の「経験」や「語り」への着目を提案いただきました。
後編では、その具体的な方法について伺っていきます。
本書では一人ひとりの「経験」に目を向ける心構えとして、「言葉を丁寧に扱う」という表現を使いました。
これは、単に「丁寧に話を聞く」という意味ではありません。
経験にアクセスする入り口である「語り」を読み解き、語り手が経験してきた困難などを、その人の視点に立って明らかにする営みを指します。