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世界で普及する肥満症の薬、開発競争激しく 売上高14兆円の予測も

朝日新聞デジタル
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    順天堂大学医学部総合診療科 准教授

    様々な機序の痩せ薬が出始めましたね。
    この記事にある「ウゴービ」や「マンジャロ」は、糖尿病患者に使われる薬で、GIP受容体作動薬、GLP-1受動態作動薬という成分が入っており、体内のインスリン分泌を促して食欲を抑える効果があります。他にもSGLT2阻害薬は、尿に糖を出す事によって痩せる作用があります。アライという薬は、脂肪を便に出して吸収を抑えます。

    糖尿病の薬がかなり痩せる効果が期待できる上に、治療薬としても優秀なことから、よく使われる様になりました。肥満のある糖尿病患者にはうってつけです。

    肥満はそれ自体で心血管イベントのリスクになったり、感染症の重症化リスクにもなったりします。治療対象として改善するべきです。国の承認が得られ、安全性が担保される様になれば、肥満患者に広く使われる薬になるでしょう。

    懸念点は、肥満じゃない方が体型維持のために使う様になる可能性で、適応外使用による薬の乱用で健康被害につながる恐れがあります。

    引き続きエビデンスの蓄積が必要です。


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    専修大学 商学部教授

    病的な肥満に正しく使い、治療の選択肢が増えることは歓迎できます。

    肥満度を示す指標BMI(Body Mass Index)は、「体重(kg)÷ (身長(m))^2」で求められます。記事中のBMI30(肥満2度の下限値)とは、身長170cmの方で約87kg、150cmの方で約68kgであり、BMI35(肥満3度の下限値)とは、身長170cmの方で約101kg、150cmの方で約79kgになります。

    この記事では誤解のないようにしっかり書かれていますが、そもそも抗肥満薬は病的な肥満のみが適用対象です。少し太り気味というくらいでのは投与対象にはなりません。医療用医薬品は入手には診断に基づく処方箋が必要です。

    世界での抗肥満薬の市場が大きいのは、それだけ肥満患者が多いことと、これらの医薬品にある程度高額な値付けがされていることによります。

    「ウゴービ」はGLP-1受容体作動薬と言われる医薬品で、血糖値を下げる効果があります。日本では、同成分の医薬品がすでに糖尿病治療薬「オゼンピック」として使われています。「ウゴービ」は、すでに日本でも承認されましたが現時点で保険薬価の収載は見送られています。

    「ウゴービ」に、仮に「オゼンピック」と同程度の保険薬価がついた場合、月当たりの医薬品価格(保険適用前)は数万円になります。緊急性が高い糖尿病の治療を目的にする医薬品に対する支出としては許容できても、抗肥満薬としてこの薬価をつけることに対して、財政を支出する側の政府が抵抗している様子が浮かびます。

    「ウゴービ」は、BMIが27以上で2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する場合は適応になりますが、肥満に関連する健康障害がない場合はBMIが35以上でないと(自費によっても)投与対象にはなっていないなど、使用可能基準は緩くありません。

    1992年に承認された「サノレックス」は脳をだまして食欲を減らす医薬品です。医薬品は副作用が伴うこともあり、できることなら自分の意思で食事制限にチャレンジすることが優先されると思います。

    製薬企業にとってビッグ・ビジネスチャンスであることは理解できます。


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    総合内科医 医学博士

    記事に登場するマンジャロ(一般名 チルゼパチド)は週に1回注射を行うGIP/GLP-1受容体作動薬という分野の薬で、2022年5月にFDAが承認して以降、同じく週1回投与のGLP-1受容体作動薬であるオゼンピック(一般名 セマグルチド)の供給不足も相まって米国では処方が急速に普及しました。日本でも2023年4月に田辺三菱製薬がマンジャロを発売しており、日本でも今後同様の現象が見られるかもしれません。これらの薬は肥満の患者に対して減量効果と血糖を下げる効果の両方が臨床試験で確認されており、今後の肥満患者の糖尿病治療で主流の治療になってくるのかもしれません。また、今後は心血管イベント抑制や腎保護作用など、その他のアウトカムの報告についても注目されています。


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