2023/6/22

【最新研究】「心からの感謝」がウェルビーイングのカギ

NewsPicksでは週7日毎日、世界のトレンドの背景を追うシリーズを開始しています。木曜日は「Next Big Thing(次のサイエンス)」です。
INDEX
  • 「感謝」は心にも体にもいい
  • 感謝の定義とは?
  • 効果は生物学的に検証済
  • 「1日1回」感謝するだけでOK
  • 「具体的に伝える」大切さ

「感謝」は心にも体にもいい

2022年は「とんでもない1年」だったとステイシー・バトン (56歳)は言う。
夫はがんで亡くなり、父も長年パーキンソン病を患った末に死去。母もがんと診断された。
彼女自身も、米国横断を経験した。26年間住み続けたシアトルの家を売り、コネチカット州フェアフィールド郡へと転居したのだ。
ともすれば押しつぶされそうな中で気づいたことがあった。毎日、物事のいい面を探すと、気分がよくなる、と。
そこでバトンは大きなガラス瓶を買って「感謝の瓶」と名付けた。今もベッド脇のテーブルに置いている。
(nastenkapeka/iStock/Getty Images)
毎晩、紙切れにうれしかったことをいくつか書き留めて、その紙をガラス瓶に入れる。
書くのは、「ご近所に知り合いが増えた」とか「犬と母と一緒に散歩した」など、ささやかな出来事が多い。
「悲しい気持ちは今もあります。ただ、毎日の出来事を書くうちに救われていきました
とバトンは言う。
20年前、それまで科学者がほとんど見向きもしなかった問題への画期的な研究が行われた。
心理学者のロバート・A・エモンズによる、人間が感謝から受ける恩恵を突き止めようという研究である。
「感謝が心を健やかにする可能性がある」と示唆したエモンズの研究結果を受け、新たな研究が次々と後に続いている。