2023/6/12

【逆潮流】日本の勝ち筋は「ガラパゴス」にこそある

「ネオ・ガラパゴス」へようこそ

ガラパゴス
21世紀に入り、この5文字ほど、日本という国を語る上で「トラウマ」になってきた言葉はあるだろうか。
これは元々、2000年代前半、日本の携帯電話が独自進化を辿り、海外から孤立する様子を「ガラパゴス諸島」の生態系になぞらえたことで登場した言葉だが、この20年、ビジネス、テクノロジー、文化に政治まで、あらゆる領域で「ダメな日本」を示す文脈で使われてきた。
日本は世界を見ず、国内だけを見ているから、世界では成功しないのだ、と。
だが、今こそ、その「呪縛」から解き放たれる時が来たのかもしれない。
そう思えるほど、2020年代に入り、風向きが変わっている。
少なくとも、エンタメや食など「カルチャー」の領域では、日本のinsular nature(島国体質)こそが、クリエイティビティーの源泉であり、世界のトレンドからズレた進化こそが、海外での絶対的な人気を生み出す傾向が顕著になっている。
もちろん、アニメなどの日本のクリエーションは以前から日本の強みだった。
だが、テクノロジーの進化で世界がつながり、コロナを経て世界がより多様なコンテンツに目を向ける中で、奇しくも日本が独自に(ときに変態的に)育んできた異端のカルチャーに、今スポットライトが当たっているのだ。
ちょうどこの6月、YOASOBIの楽曲「アイドル」が日本語史上初の米ビルボードのグローバルで首位(米国除く)という快挙を成し遂げた。
その構造は後述するが、これは韓国、特にK-POPが得意とした海外市場に合わせたコンテンツ開発や、それを参考に自らジャパンを売り込んだクールジャパンの失敗とは、かなり逆説的な部分を含んでいる。
それでは、独自の進化こそが成功をもたらす「ネオ・ガラパゴス」の世界へようこそ。
INDEX
  • 「ネオ・ガラパゴス」へようこそ
  • 沸騰するアニメ、人気トップ10
  • 「黄金の方程式」が見えた
  • YOASOBI。「ネオ・ガラパゴス」の究極系
  • 「納豆」から「軽トラ」まで…
  • 日本の「必勝の法則」は?

沸騰するアニメ、人気トップ10

現代において、アニメほどこの変化を象徴する産業はないだろう。
もちろん、アニメは1990年代のドラゴンボールを筆頭に、日本の外でも熱狂的な人気を誇ってきた。21世紀に入っても、NARUTOも、DEATH NOTEも、国境を超えてキッズを魅了してきた。
だが、この5、10年前までは、その人気は明らかにニッチだった
日本のエンタメ産業が、インターネットを通じた海外展開にひどく消極的だったことも相まって、その人気は一部の「オタク(英:weeb)」に限られていたのが実情だった。
しかし、そんな常識は今は完全に変わった