2023/6/3

【ミニ教養】世界が、日本の「AI天国ぶり」に気づいた

NewsPicks NY支局長
このコラムは、世界のビジネス、テクノロジーのコンテキストを学びつつ、ついでに一つ英単語も覚えられるお得な連載です。
INDEX
  • 日本と欧米のギャップ
  • 「日本はAIパラダイスだ」
  • 今週の「キーワード」
  • 「日本=超大国」の現実味
  • 日本に目をつけた最強企業

日本と欧米のギャップ

おぉ、ようやくやってきたか、という感じだ。
今もまだ世界のテック周りのニュースが「生成AI」で一色なのは、どこの国でも一緒だが、日本と英語圏でギャップがあるなと思っていた点が一つあった。
それは、日本の「AI天国問題」の認識だ。
4月にChatGPTを開発するOpenAIのサム・アルトマンが日本を電撃訪問して以降、日本(の少なくとも一部)では、生成AIでは日本にチャンスがある、という認識がそれなりに浸透している感じだ。
その後も、マイクロソフト社長が訪れたり、自民党プロジェクトチームの議論も進んでいたりと、どうやら日本はこの分野で謎のプレゼンスがありそうだ、と。
「これまで、ほぼすべてのイノベーションが日本に相当な時間差で伝わってきたのと比べると、ChatGPTは本当に時差がない。OpenAIのCEOと首相が会い、日本の経営者、政治家が何が起きているかを理解していて、このスピード感にちゃんと巻き込まれているのはすごいこと。すごいよい環境ができている、と」
日本でのAIの第一人者である松尾豊・東大教授もNewsPicksの取材にそう答えていた。
これは、まさにその通りなのだけれど、同時に少し気になっていたこともあった。
そんな日本の熱狂が日本の外では全く認知されていなかったことだ。
もちろん日本の国内外で情報量に差があるのは当然のこと。
だけれども、それなりに頻繁に自らの動向をツイートするアルトマン自身も日本訪問は特にポストしていなかったりして、OpenAIが日本を重視しているといった論調はおろか、彼が日本を訪問したこと事実さえも、英語圏ではあまり報道されているとはいえなかった。
だが、今週、そんな潮目が少し変わった。

「日本はAIパラダイスだ」

それは、いきなり日本の著作権法の「特異性」が知られたことだ。