米、RSウイルスワクチンを世界初承認=高齢者対象に英グラクソ開発
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注目のコメント
すでに第3相試験の結果が査読付きの論文としても公表されており、順当な結果、期待されていたニュースです。
背景となった研究では、60歳以上の高齢者を対象に、RSVウイルス感染を予防するワクチンの効果を調べられました。ランダムに分けられた2つのグループの人に、それぞれ1回、タンパク質ベースのワクチンまたは偽薬がRSウイルス流行前に投与され、RSウイルス感染症に対するワクチンの効果が評価されました。
約2万5000人の参加者が接種を受け、約6.7か月の期間評価をされ、ワクチンの肺炎や気管支炎に対する効果は82.6%と算出されました。また、重症感染症に対するワクチンの効果は94.1%でした。
副反応に関しては、ワクチン群でプラセボよりも有害事象が多く見られましたが、大部分は一時的で軽症から中等症でした。重度の有害事象については、プラセボと同等でした。
これらの結果から、RSウイルスワクチンの一回接種が、60歳以上の高齢者において安全で有効であることが示唆されたと言えます。
待望のワクチンであり、今後はRSウイルスが高齢者と同様またはそれ以上に問題になる子ども世代への適応拡大が期待されるところです。
参考文献
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2209604高齢者のRSウイルス感染症は一定数存在していますが、これまで有効な治療薬やワクチンがなく、経過観察する以外にありませんでした。
本研究の詳細については山田先生が素晴らしいコメントをされているので、ご覧ください。有効性は非常に高く、安全性にも問題ないため、広く使われる様になると思います。
女性における子宮頸がんワクチンが先日話題になり、定期接種となりましたが、高齢者のワクチンにも打つべきワクチンとして、肺炎球菌や帯状疱疹などがあります。肺炎球菌ワクチンの普及率はコロナ前で30%、コロナ発生後では15%程度まで落ち込んでおり、更なる啓蒙活動が必要です。
医療従事者の中にも高齢者ワクチン接種の重要性が十分に行き届いておらず、病院受診した際にワクチンを勧めるという流れが作れていません。
RSウイルスワクチンも、高齢者が打つべきワクチンの一つになる可能性が高く、小児ワクチン同様、高齢者ワクチンの普及が今後の課題です。RSウイルスは小児や高齢者に感染すると肺炎や気管支炎などを引き起こし、重篤化することがある疾患です。すでに第3相臨床試験で予防効果と安全性を示したことから、今後臨床試験の対象となった高齢者でのワクチン接種が普及していくことが予測されます。高齢者はインフルエンザ、COVID、肺炎球菌などに加えてRSウイルスのワクチンを接種することがスタンダードになっていくかもしれません。