2023/5/2

G7外相を酔わせた「酒」が狙う米国上陸

主要7カ国首脳会議(G7サミット)に先駆けて長野県軽井沢町で4月に開かれた外相会合の夕食会。
ここで、ある日本酒が一部で話題になったのをご存じだろうか。乾杯酒に使われた、山口県岩国市の「獺祭(だっさい)」だ。
軽井沢なのに、なぜ山口のお酒なんだ
インターネット上では、そんな書き込みが相次いだ。
それもそのはず。この獺祭、今や「目立ちすぎる日本酒」だ。
様々な外交の場で、この獺祭がしばしば登場するのだ。
長く首相を務めた故・安倍晋三氏の地元である山口県にちなんで、レセプションで使われることが結果的に多くなった。
2020年の日米安全保障条約60周年記念レセプションでも獺祭が飲まれた(東京、バナー写真ともにAFP=時事)
今回のG7外相会合でも、林芳正外相の地元が山口県だったことから採用されたようだ。
しかし調べてみると、意外な事実を知った。
実は、獺祭は日本酒のグローバル化のモデルケースとして期待されているのだ。
獺祭を生産する旭酒造はこのほど米ニューヨーク州に酒蔵を完成させ、6月にも「DASSAI BLUE(ダッサイ・ブルー)」の量産を始める。
山口県の山奥にある旭酒造がなぜわざわざ米国で獺祭をつくるのか。日本で圧倒的なブランド力を持つ獺祭の新しいステージを取材した。
INDEX
  • 寿司店で飲まれているだけ
  • 一通のメールにびっくり
  • 首相「怒られるんだよな」
  • 鉄板ネタ「杜氏の脱走」
  • 「杜氏の頭の中」に入ると
  • それでも難しい米国生産
  • 手作業か自動化か
  • 日本酒グローバル化2.0