冬眠でなぜ血栓できない? クマの血液分析、原因物質発見―エコノミー症候群の新薬期待
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まだまだシーズの段階の発見です。
現時点でも血栓を治療したり予防する薬はあり、使用されています。HSP47が製品化されるにはまだまだ課題が山積みですが、最後の治験の段階で、従来の薬とどういった差別化ができるのかがポイントだと思います。
こういった発見はいくつもあり、これがそのまま製品につながるものではないため、長い目で見る必要があります。人の血液は、通常からだの中で絶えず血管の中を流れ続けています。この流れが鈍くなってしまった場合に、血液は固まる性質を持っています。
こうした性質は、けがをしてしまった場合の防御機構として働いているものです。けがをして血管が破れてしまった場合、そこからしみ出た血液は流れが止まります。流れの止まった血液の固まる性質のおかげで、血管が破れた場所で血がかたまり、出血を止めることができるのです。
この性質が仇となる場面がいわゆるエコノミークラス症候群です。長距離移動の際に、足を動かさないでいると、普段は足の筋肉の動きに助けられていた足の血管の血の巡りが鈍くなり、血液が固まりやすくなるのです。これにより、足の血管内に血栓ができてしまう病態です。
こうしたことは、メカニズムとしては冬眠中のクマでも起こるはずですが、それが起こらないという点に着目した研究です。解明されれば、血栓予防、ないし治療に活用できる可能性があるというわけです。2016年の熊本地震では50人以上がエコノミークラス症候群の疑いがあると診断され、死亡者も出ました。
現時点で避難所で実施できる予防策は「水分を充分に取る」「定期的に身体を動かす」くらいしかないのですが、断水やトイレ環境の不足などから充分な水分を取れなかったりすることが多いので災害時の大きな課題となっています。
新薬など新たな予防策に期待したいです。