2023/4/23

【ミニ教養】世界一の「脱炭素技術」を持つ日本企業がいた

NewsPicks NY支局長
突然だが、「脱炭素」と言われると、何を思い浮かべるだろうか。
おそらく多くの人が、太陽光パネルや風力タービン、もしくは原発など、発電設備を思い浮かべるのではないだろうか。
もちろん、それは正しいのだが、もう一つ同じぐらい大事なのに、地味すぎてかあまり注目されないテクノロジーがある。
それが、送電網だ。業界ではグリッドと呼ばれる。
(写真:Shi Jun / Costfoto/Future Publishing via Getty Images))
これは、まさに電力システムの「血管」であり、いくら発電しても、グリッドがなければ家まで電気は届かない。さらに、今後再エネが主流になると、血管たるグリッドも大規模にアップデートする必要が出てくる。
実は、その再エネ時代のグリッドで、世界ナンバー1の企業が日本にある。
日立製作所が、3年前に買収した日立エナジー(旧:ABBの送電部門)は、世界中でニーズが急騰しているHVDC(高圧直流)のシェアで、世界トップを堅持しているのだ。
しかも、成長著しく、日立の中でもトップ級の事業規模となっている。
今回は、この知られざる日立の稼ぎ頭と、脱炭素の追い風を受けたそのテクノロジーの行方について、少し深堀りしていきたい。
INDEX
  • 教養:エジソン VS テスラの対立
  • 「世界初」の商用化を達成
  • 投資の「追い風」がハンパない
  • 超成長事業に「盲点」はあるか

教養:エジソン VS テスラの対立

HVDCという言葉はマニアックすぎるかもしれない。
だけど、直流という言葉なら、誰もが理科の時間に習ったはずだ。
電気の流れ方には2つあって、直流(DC)と交流(AC)があるのだと。直流は電気が常に一方通行で、交流とは流れる向きも電流・電圧も周期的に変化している。
現在、世の中の送電システムの主流は、交流になっている。
これは元をたどっていけば、1880年代に起きた「電流戦争」にぶち当たる。