(ブルームバーグ): 対話型人工知能(AI)サービス「ChatGPT(チャットGPT)」のような生成AIを利用している企業は、社外秘の顧客情報や企業秘密を危険にさらしている可能性がある。イスラエルを拠点とするベンチャー企業「チーム8」がリポートでこう指摘した。

公表前にブルームバーグ・ニュースに提供されたリポートによると、新たなAIチャットボットや文章作成ツールの普及で企業はデータ漏えいや訴訟にさらされやすくなる可能性がある。ハッカーがチャットボットを悪用し、企業の機密情報にアクセスしたり企業に不利なことをしたりする恐れがある。現時点でチャットボットに入力されている機密情報が将来的にAI企業に利用される可能性も懸念されるという。

米マイクロソフトやアルファベットなど大手テクノロジー企業は、チャットボットや検索エンジンを改善するため生成AI機能の拡充競争を繰り広げている。利用者の問い合わせに1カ所で全て対応できるようインターネットから収集したデータでモデルを学習させている。これらのツールに機密データないしは個人情報が入力された場合、その情報を消去することは非常に困難になると、リポートは指摘している。

リポートでは、「生成AIの企業利用は、利用者の直接入力ないしはアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を通じて機密情報や知的財産、ソースコード、企業秘密、その他のデータへのアクセスや処理につながる可能性があり、それには顧客情報や個人情報、極秘情報が含まれる」と指摘し、リスク水準を「高」とした。適切な予防対策が導入された場合、リスクは「管理可能」としている。

このリポートの草稿作成には、マイクロソフトでコーポレートバイスプレジデントを務めるアン・ジョンソン氏が携わった。マイクロソフトは、チャットGPTの開発企業であるオープンAIに数十億ドル規模の投資を行っている。

多くの米企業の最高情報セキュリティー責任者(CISO)も寄稿者としてリポートに記載されているほか、米国家安全保障局(NSA)で局長を務めたマイケル・ロジャーズ氏からも支持を得ている。

原題:ChatGPT Poised to Expose Corporate Secrets, Cyber Firm Warns(抜粋)

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