国境すり抜けるマネーはNO 神戸の富裕一族、52億円申告漏れ
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海外移住や海外に資産管理会社を作りたい方の相談を日々受けていますが、国外転出時課税制度(いわゆる出国税)やタックスヘイブン税制は、税理士であってもなじみがない方が多い税制で、日本側の税理士・会計士にそれらをご説明するのも仕事の一つになっています。
記事にある通り、国外転出時課税制度は、日本居住者が日本を出国するときに1億円以上の有価証券を保有している場合にみなし課税されますが、それ以外にも贈与時点で1億円以上の有価証券を保有している居住者が非居住者に有価証券等の対象資産を贈与した場合は、その贈与の時に対象資産の譲渡または決済があったものとみなしてその贈与した対象資産の含み益に対して所得税が課税される制度です。
贈与により含み益が課税されるのは、非居住者に移転した対象資産にかかる含み益のみですが、出国税(贈与)の対象となるか否かの判定は、贈与贈与が贈与した資産もそれ以外の資産も含めて所有する対象資産が1億円以上か否かです。今回の件は、大きな案件でしたが、小さな案件を含めればそれなりに申告漏れが発生していると思います。
今後もタックスヘイブン税制、出国税の申告漏れの他、海外の信託(トラスト)を使った申告漏れ・脱税が増えるでしょう。詳細は解りかねますが、海外で税逃れをしようとしても何かしらの税制でブロックされているものがほとんどです。
タックスヘイブン税制は税率が低い国に会社を作って所得を移転するなどしても日本で合算して課税する税制。
国外転出時課税制度は、高額な有価証券を保有しているケースで、出国や贈与などの事由で所有者が国内から海外に移る場合に、非居住者が所有する有価証券への課税が出来なくなってしまうために、移転時点で時価課税をしようとするもの。
昨今は富裕層への課税が強化されており、対策チームも作られています。
また、租税条約等に基づく情報交換制度も充実してきており、資産隠しなども難しい状況になってきています。
税は払いたくない気持ちももちろん解りますが、海外への資産移転や所得移転への課税が強化されないと、つまりは国内の所得だけで国を支える必要が出てくるので、必然的に税率が上がっていく構造になると思います。
そのために公平性の担保は必要だと思いますし、そうでなければ正直者が馬鹿を見る世の中になりますので、個人的には良いと思いません。
ただ、税制が複雑すぎて、一般の方はもちろんのこと税理士でも複雑な税制は付いていけなくなることがありますので、解りやすい制度作りや周知することは必要であると考えています。