2023/4/1

【核心】日本の「SDGs」のウソ

NewsPicks NY支局長
このコラムでは、毎週一つの「キーワード」を基に、世界のビジネス、テクノロジーの最前線を、その裏側にあるコンテキストとともにお伝えしていきます
INDEX
  • ①「個人の省エネ」という歪み
  • ②エネルギーは減らすな、増やせ
  • ③エネルギー「1円」が到来する

①「個人の省エネ」という歪み

「SDGsの時代ですものね」
日本でエネルギーや気候周りの話をすると、こんな反応があることが多い。実は、これは欧州や米国では、ほぼ聞かれない反応だ。
というのも、SDGsは日本でだけ異常に浸透した言葉だからだ。
グーグルトレンドを調べると、この1年間の「SDGs」の検索数は、日本が100とすると、2位のルワンダでさえ半分以下、英国は2で、米国やドイツでは1しかない
そりゃ、そりゃ「SDGs疲れ」も起きるわ…と感じつつ、今回は、この数字自体を論じたいわけではない。
本題は、この「SDGs」が日本でだけ妙に広がったのと同時に、この言葉をめぐって日本特有の「歪み」が出てしまっているのではないか、ということだ。
おそらく、SDGsと聞いたとき、日本だと、少なからぬ人たちが「エアコンの温度」とか「節水」とか、そういう個人のがんばりの問題だと思ってしまっているのではないか。
もっと端的に言うと、エコなんて個人の「我慢」や「犠牲」だろう、と。
それを裏付けるかのように、日本は世界と比べて、気候対策が「生活の質を脅かす」と考えている層が世界全体と比べ2倍以上も高い(👇)。
だが、実は、この考え方は、なかなか危険な側面をはらんでいる。