仏年金改革を強制採択 ストの中支給開始引き上げ
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ここでいう「強制採択」というのは、議会(下院)での採決無しで法案を成立させることです。
そんなことができるのかというと、フランス憲法49条3項でできることになっていて、内閣は議会の採決無しで法案を成立させることができます。
ただし、その後24時間以内に議会で内閣不信任案が提出され、可決されればその法案は不成立となります。
今回は、内閣による法案成立後、議会で国民連合(ルペン派)が不信任案を提出したので、その採決になります。
左派のメランション派も不信任案賛成です。
マクロン派は下院では過半数を持っていません。
ただ、野党第3党の共和党の全員が不信任案に反対ならば、不信任案は通らないでしょう。しかし、造反する議員が出ているようなので、まだ読めません。「年金の支給開始年齢の引き上げ」に対し、フランス国民がデモまで起こすという政治への参加姿勢の強さには驚きました。
それと比較すると、日本はそこまで反発の声が上がらず、割とすんなりと受け入れてしまうように感じました。
ここまで世論に食い入るメンタリティーが日本人にはもう少し必要なのもしれないですね。「強制採択」という手段の是非は横に置いて、国民にとって「苦い薬」を提供する政治の意志かと思います。国民の平均寿命が延びているのに、年金受給開始年齢を変えなければ、平均的な年金受給期間は長くなるはずで、制度を持続的なものにするには、制度を支える負担を増やすか、受給金額を減らすしかないです。
やや脱線しますが、日本においても、子育て・防衛といった今日的なテーマや、社会保障に代表される構造的なテーマに対し、冷静かつ客観的な選択肢を分かりやすく示して、国民の議論に晒していくことが、政治やメディアに求められるのではないかと思います。