【決算解説】幹部流出、株主の圧力。セールスフォースの正念場
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すべてのSaaS企業がお手本としてきたといっても過言ではない、セールスフォースが転換点を迎えています。成長鈍化、人員削減、幹部の流出、そしてアクティビストによる圧力。テクノロジー業界を襲う景気後退の波は、最強といわれてきた成長企業にも及んでいます。
名前は聞いたことあるけど、何をやっている会社か、いまいちよくわからないという人も少なくないかと思います。セールスフォースのCRM（顧客関係管理）ツールは、知名度とは裏腹に、職種によって使うか使わないかがはっきり分かれるソフトウェアです。改めてどんなソフトウェアを扱っているのかも含めて、解説しました。
記事には盛り込みきれなかったですが、この会社も他のビッグテックと同様、あるいはそれ以上に、M&Aで成長してきた会社です。「コーポレートデベロップメント」と呼ばれる部門が、本体のBS（バランスシート）投資やCVC（コーポレート・ベンチャー・キャピタル）をうまく活用し、買収や提携で製品群を拡大してきました。CVCのSalesforce Venturesは日本での投資も活発です。ただ今後は縮小する可能性もあり、動向を注視したいと思います。
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後日、いくつかピックアップし、解説記事でお返事いたします（#教えて企画の詳細や、詳しい質問方法は下の記事参照）。
https://newspicks.com/news/8002819/body/2/28付けのWSJはこのあたりを「At Marc Benioff’s Salesforce, It’s One Big Family—Until Trouble Hits」と題して詳細に報じています。Familyだと前面に打ち出して失敗したのはオラクルに買収されたピープルソフトもそうですしアマゾン傘下のザッポスはどんどん別の会社化していると報じられています。サウスウェスト航空は頑張っています。企業文化のマネジメントは本当に難しい。
https://www.wsj.com/articles/salesforce-layoffs-marc-benioff-ohana-culture-8b3e82c?st=tq0d5p4xa6fk5zq&reflink=desktopwebshare_permalink2021年のピーク時$307超えから急落し、一時$130を割り込み60%の価値が失われました。今は持ち直し$187あたりで時価総額も$190bn程度。Slack買収（$28bn）が完了したのが2021年7月ですから、それから一気に資本市場の変調の影響を受けたことになります。
ここで積極的な人員増加により収益性が悪化したとありますが、同時に積極的なM&Aを通じた固定費の増加、さらにグループ会社が増大する中でPMI負担、特にクロスセルが鍵になる中で営業戦略や営業体制の構築がうまく進まず、その背景に経営幹部幹部間での意思疎通などが存在したのでしょうか。
いずれにせよ、20兆円を超えるような巨大IT企業であっても、そこで出てくる経営テーマは日本の一定規模のIT企業のそれと似ています。巨大企業のマネジメントにとっても、M&Aを含めた積極的な成長戦略とリスク、成長と収益性、異なる文化の会社の統合などは難しいテーマだということです。
一方、それを恐れていては成長は難しいわけですから、我々日本のスタートアップも成長戦略の難しさを過小評価せず、健全な恐れを抱きながら前に進むような経営をしていきたいと思います。
