【大実験】遺伝子組み換えで急成長する木が地球を冷やす?
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気候変動を止めることを狙うスタートアップ「リビング・カーボン」についてNYTのレポートを翻訳・紹介します。
地球温暖化を食い止めるべく、二酸化炭素を吸収するための方策として様々な方法が研究されていますが、
リビング・カーボンは、木が早く成長するように遺伝子組み換えを行い、より多くの二酸化炭素がなくなるようにするというアプローチです。
実際に効果を出すには、多くの組み換え樹木を植えなくてはいけませんが、法律をクリアしなくてはいけませんし、
環境保護団体からも懸念が寄せらえています。さらに本当に早く成長するのかという研究もまだ必要のようです。
道のりは簡単ではありませんが、このような新しい技術が生まれてくることには大いに期待が膨らみます。二酸化炭素を多く吸収してくれるのはありがたい話ですが、既存の生態系への影響が心配です。世界がポプラだらけになってしまう、恐れがあります。
加えて、日本は戦後の植林で杉花粉が問題になっています。こういう副作用的なものが起こらなければいいのですが。遺伝子組み換え植物の危険性と温暖化対策の2つが含まれる記事でした。
そのうち温暖化対策について整理します。
植物による温暖化対策を理解するには、『炭素循環』という概念が基本となります。
地球上の炭素原子Cの量は決まっていて、生物の作用により①CO2ガス、②植物、③微生物をグルグルと回っているという考え方です(動物の寄与は無視できるくらい小さい)。植物が朽ちればそれを資化する微生物が増えてCO2ガスが放出され、植物が燃焼してもCO2ガスが放出されますが、CO2はふたたび植物に取り込まれます。この循環において炭素Cの総量は変化していません(carbon neutral)。
ゆえに、植物による温暖化対策は、冷却効果というよりも一時的に②の植物に留まる量を増やし、その差し引きとして①を減らしましょうという考え方です。
地球上の炭素量が増えている根本的な原因は、①~③の循環に含まれていなかった化石燃料を人間が地下から大量に引っ張り上げていることです。これにより増えた地球上の炭素Cを植物として“一時的に”留まらせることに、どのくらいの効果があるのかが論点なのかなと思われます。