日本のGDPがドイツに抜かれる日は来るのか?
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日独GDP逆転報道に関し頻繁に照会を受けるため書いてみました。事実として日独GDPは接近しており、もはや同率3位、為替次第では逆転不可避という状況にあります。この背景は無数にあります。拙著「アフターメルケル」では日独経済比較を仔細に行っており、実のところ、本編に匹敵するほどの反響がありました。今回はその分析からの一端を紹介させて頂いております。
日本とドイツのGDPを俯瞰した場合、実は非常に大きな違いとして「一極集中型 vs. 分散型」という対照性を見て取ることができます。歴史的な経緯もあろうと思いますが、何でも「ユーロが安くてズルいから」という安直な発想では説明できない部分もあるかと思います(自力より安い通貨という意味ではフランスもオランダもベルギーも同じなわけですが、ドイツほどの頑健さは実現できていないわけです)。
ご笑覧くださいませ
アフター・メルケル 「最強」の次にあるもの
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%83%95%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%83%AB%E3%82%B1%E3%83%AB-%E3%80%8C%E6%9C%80%E5%BC%B7%E3%80%8D%E3%81%AE%E6%AC%A1%E3%81%AB%E3%81%82%E3%82%8B%E3%82%82%E3%81%AE-%E5%94%90%E9%8E%8C-%E5%A4%A7%E8%BC%94/dp/4532359090国の経済成長を論じる上では、その国の都市システムがどのようなものであるかを前提に議論する必要があると私は考えている。それを踏まえると、明治以降中央集権型国家として都市が形成された日本においては、唐鎌さんも本記事でおっしゃっているように、「そもそも人口が減少過程に入る日本にとっては「資源を分散して戦う」よりも「資源を集中して戦う」方が理に適っている」というのが長年にわたる私の持論だ。
しかし、だからと言って「東京だけに集中」するということでが得策ということではない。日本には、福岡市などが象徴的ではあるが、各地域経済ブロックで経済集中が進んでいる中枢都市が存在しており、これらの地方の大都市を強化していくことが、本来目指すべき選択と集中と個人的には考えている。地方は強い中枢都市を中心とした地域経済ブロックを形成することで経済力を強化するべきなのである。
人口が減少し、都市インフラの多くが寿命を迎える中で、地方創生の名の下、その中核都市レベル以下の衰退する都市(その多くは都市というよりは単なる町)を補助金漬けにすることは、むしろ愚の骨頂であるのだが、唐鎌さんのこの記事を読んで「やっぱり地方創生大事」という声を大きくする人がまたぞろ発生することが容易に想像できるだけに頭が痛い。綿密な分析、ありがとうございます。日本が少子高齢化、人口減少先進国と分かっていても、ドイツの強さの秘密を解き明かしていただき、なるほどと腑に落ちる反面、近々GDPがドイツに追い抜かれるという予測の正当性を突きつけられると、残念な気分になりました。いかんせん、地方中小企業の強さや専門性を追求した教育制度は見習うべきものがあります。フランクフルト、デュッセルドルフ、ミュンヘン、ベルリン等それぞれの都市に特徴がありますよね。あと、シーメンス、BASF、ボッシュ等世界的企業の層の厚さを感じます。