KADOKAWA社長「過度な忖度あった」…五輪汚職受け社外取締役を過半数に
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KADOKAWA社長の独断を取締役会が許してしまい、企業に損害を与えた。その理由は「過度の忖度」であった。だから、外部の弁護士らで作るガバナンス検証委員会の報告書に基づく再発防止策として、企業とのしがらみを持たない(はずの)社外取締役を過半数にする方針とのことです。
再発防止への対応として、外形的基準として株主の利益を保護するためには不可欠の策だと思います。この方向での対応が望ましいと考える上で、社外取締役の問題点をさらに考えます。
社外取締役の最低限不可欠な業務は、月1回程度に開催される「取締役会」に出席して株主を中心とする複数のステークホルダーの立場に立ち、それぞれの多様な経験から責任ある意見を述べ、議決に加わることですが、
・企業統治への熱意において非常に個人差があること
・ほかに仕事(本業)を抱えていることが普通ながら、数社以上を掛け持ちしているケースがあり、その場合は社外取締役業務に使える時間をどうやって確保しているのか疑問を抱かざるを得ないケースがあること(つまり考える時間がないはずだから意見が出せない)
・経済団体などでの知り合いや、親子関係はないものの複数企業で環状的に社外取締役を構成しているケースがみられること
・社外取締役の報酬は上場企業はおおむね高額なため、実質的な選任権限がある企業自体に忖度してしまう環境が否定できないこと(なお、法的な任命権限は株主総会)
・専門性との関連の低さから見てリスクの発見とどう関係しているのか疑問を持たざるを得ないケースがあること
などは、忖度(または無反対)を期待しての人選と言わざるを得ないことから、このような利害関係がありそうな人選を避けた社外取締役の選任が望まれます。欧米の大手企業では、上記のような懸念をあらかじめさけるため、社外取締役には法務専門家はもとより、消費者団体のリーダーや取引先業界の団体、リスク発見に有効な意見を有する学識関係者やコンサルタントが多く選任されている印象を受けます。指名委員会等設置会社に移行するためには、株主総会の特別決議による定款変更が必要ですね。(会社法の復習です。)
≪今後、より外部の目を経営に取り入れるため、監査等委員会設置会社から指名委員会等設置会社への移行と、取締役の過半数を社外取締役にする方針を明らかにした。≫
会社法
(株主総会以外の機関の設置)
第三百二十六条 (一項 略)
2 株式会社は、定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、監査等委員会又は指名委員会等を置くことができる。