12月の消費者物価指数 4.0%上昇 1981年以来 41年ぶりの高水準
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財とサービスに分けると、財が+7.1%に対してサービスが+0.8%しか伸びてません。
ちなみに、1981年12月では財+4.3%に対してサービスが+4.7%上昇とバランスの取れたインフレでした。
今回のインフレがいかにいびつかがわかるでしょう。物価の上昇が賃金の上昇に結び付いてインフレが加速した米国と比べ、日本のインフレ率は未だ低いですが(12月:米国6.5%、日本4.0%)、米国が6月を上限に下がり続けているのに対し我が国では上昇が続いています。資源価格と円安の影響をダブルで受けるモノの価格は既に米国並みに上がっていますので、物価と賃金の共振でサービス価格が上がったら、日本のインフレ率が更に上がらないとは限りません。
ちなみに日本の企業物価は米国の卸売物価(≒企業物価)とほぼ同じペースで上がっています。ここにきて米異国の卸売物価は下がり気味ですが、日本の企業物価は高水準でまだ上がり気味(12月:日本は10.2%、米国は8.1%)。資源価格の高騰だけで済む米国と、円安も加わる我が国との違いです。賃上げに期待する声が大きいですが、モノの値段のみならずサービス価格も上げる賃上げは、諸刃の剣という側面がないとも言えない状況です。
今のインフレは供給制約が原因だから一時的で日本の真のインフレ率は未だ2%の目標に及ばない、だから金融緩和の手を緩めずインフレ目標の追及を粘り強く続けると黒田総裁下の日銀は声高らかに宣言していますけど、こうした状況下、一抹の不安を覚えないでもありません。欧米並みのインフレに至ることはないにせよ、生産コストの上昇でインフレが長期化する可能性はそれなりに大きそうな気が来ます。
日本が元気だったころのインフレは、企業の生産性の向上を伴うものでした。だから企業物価(当時の統計は卸売物価)の上昇率が消費者物価の伸びを大きく下回っていたのです。生産性の向上分を企業と従業員が分け合って賃金が上がって需要が増え、賃金上昇を生産性の向上が補って企業物価、すなわち生産コストの上昇を抑えながら消費者物価、即ち売値が上がる。設けた企業の設備投資と技術開発が進むので、売値の上昇を生産コストの上昇が下回るから企業が更に儲かって賃金が上がるという真の好循環。
ところが今は資源高と円安に押された企業物価の上昇が消費者物価を押し上げる構図ですから消費者物価の上昇を企業物価の上昇が上回って企業が苦しくなって、賃金が上がるわけがなく、物価に合わせて賃金を上げたら賃金と物価の悪循環になりかねません。生産性が向上しない限り実質賃金が下がるのは必定です。こうした状況下、インフレ国民が豊かになるとの幻想は捨て去るべきだと思います。コアコアで3.0%(※)。ようやく国際標準のマクロ経済学ではまともとされる数字になりました。
あとは、財政出動でGDPギャップを埋めて実質成長率2%以上を維持しつつこの状態を20年続ければ、GDPが2倍以上になります。現に、アメリカはそうなりました。
約30年もデフレだったわけですから、インフレの状態を30年は維持するべきでしょう。
※ https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html